マヨネーズの機能を生かした調理の工夫について研究を進めているキユーピーは、「野菜の苦味低減」と「減塩調理」についての研究成果を発表した。
野菜嫌いの理由の１つである「苦味」をマヨネーズがどのようにして低減するのかを調べるため、�〕餡�と卵白の苦味低減効果の比較�▲泪茱諭璽困瞭�化粒子の大きさ�Ｍ餡�たんぱく質の状態が苦味低減に及ぼす影響――について試験した。
苦味には生のピーマンを粉砕し、水と１:３で混合したピーマン液を用いた。苦味の強度を７段階で官能評価した。評価者は男性12名、女性８名の研究員。��の試験のみ、味認識装置を使って機器測定も行った。
�，了邯海魯圈璽泪鷄佞僕餡�、卵白をそれぞれ加えて混ぜたものを食し、苦味を比較したところ、卵白と比較して、卵黄の方が苦味の低減効果が高かった。
�△了邯海魯圈璽泪鷄佞貌�化状態のみが異なる卵黄型マヨネーズをそれぞれ加え、比較したところ、マヨネーズの粒径が小さい方が、苦味の低減効果が高かった。
��の試験は卵黄と酢を混ぜて１日ほど静置した酸変性卵黄と卵黄をそれぞれピーマン液に加えて比較したところ、卵黄と比較して、酸変性卵黄の苦味低減効果が高かった。
また、加える酢の濃度を変えた酸変性卵黄を加えた場合の苦味の強さを、味認識装置で分析比較したところ、卵黄に加えた酢酸が濃いほど、苦みを抑制することが分かった。
以上の結果から、苦味低減効果には卵黄が大きく関わり、マヨネーズ中に含まれる卵黄が細かく乳化していることや、酢と混ざって変性することで、野菜の苦味低減効果が高まることが示唆された。
マヨネーズを加えることで、食塩を減らしても満足度の高い料理を提供できる仕組みがマヨネーズの風味の特徴である「コク」にあると仮定し、試験を行った。
試験はキャベツを油で炒め、塩で調味した塩分濃度0.5％の油炒めと、卵黄型のマヨネーズを炒め油の代わりとして使い調味した塩分濃度0.16％のマヨネーズ炒めを作成し、同量を食べた時の風味の強さ・コクの強さをそれぞれ官能評価した。評価者は男性７名、女性15名の研究員が行った。
その結果、塩分濃度が60％減っているマヨネーズ炒めと油炒めで、感じる風味の強さに差は見られなかったが、マヨネーズ炒めは、コクの強さが高かった。
適切な量のマヨネーズを調理に使用すると、食塩を減らして料理の風味を損なわず、コクを付加できることが明らかになった。
同社では「これらの研究はマヨネーズの原料である卵黄や酢の性質、卵黄型マヨネーズの特徴である「コク」に着目したもの。研究成果を調理に活用することで、野菜をおいしく健康的に食べることにもつながる。
今後も「おいしさ」や「健康」にかかわる「調理」に関する研究活動を継続的に行い、食における課題の解決につながる情報を発信することで、豊かな食生活の実現に貢献していきたい」としている。
研究成果は８月28日〜29日に名古屋学芸大学（愛知県日進市）で開催された、日本調理科学会の今年度大会で発表した。