新工場稼働に伴い、パニーデリカが力を注いだのがトレーサビリティの強化。工場内の履歴はもちろん、「今までネックだった、工場を出た後もしっかり追跡できるシステムを構築したかった」(同社)と打ち明ける。オリエンタル酵母工業グループの中でも最新のシステムを築き上げた。
工場全体はゾーニングされている
(写真は梱包室)
包装し、冷却された製品は梱包室に運ばれる。梱包形態には段ボールとプラスチックコンテナの2種類あるが、この工程で工夫したことはそれらに貼るラベルの大きさを見直したこと。誰が見てもわかりやすいように大きなものに変更した。単純なことだが、軽視できない施策の1つだろう。
同社がここまでこだわったのは、新工場の設計などを担当したオリエンタル酵母工業の道木泰徳技術・研究・品質保証本部長の言葉からもうかがうことができる。「旧工場の頃からトレーサビリティはもちろん整備していました。原料はどこから届き、工場内でいつ、どこの工程をたどり、どの倉庫に入ったかを管理し、十分に把握していました。しかし、ネックだったのが工場を出た後。物流センターを経由し、各ユーザーのもとへちゃんと届いたかどうかの確認作業にはまだ改善の余地がありました」と語る。
原料をバーコード管理している
この課題を克服するために現行のシステムを更新し、グループが培ってきたノウハウを注ぎ込んだ。
原料を一定量ずつ計量し、それぞれ固有のIDを発行。これにより、完成した製品から使われた原材料を速やかに追跡できる。原材料の入荷から下ごしらえ、前処理、製造、品質検査、梱包、出荷に至るすべての工程と環境を定量化し、それを一元的に管理できるようになった。
これはオリエンタル酵母工業の他工場でも採用してきた日清エンジニアリングの生産管理システム「マルチプラネットパック」。その最新形態を総菜新工場で稼働していることとなる。
「生産管理システムに関してはこれが最終着地点。望んでいた通りの形に完成することができました。新工場で育てるノウハウを今度はグループの他の工場に反映させることができるでしょう」(道木本部長)と期待を込めている。