三和建設は食品安全規格「FSSC22000」をテーマに、セミナーを都内で26日開催した。食品メーカーから品質保証担当や生産統括担当のマネージャー級ら55名が参加した。食品業界で導入が増えている同規格を“審査する側”と“審査を受ける側”の双方の立場から学んだ。
熱心に聴講する参加者、冷食や食肉、油脂、菓子など
幅広い業種の食品メーカーから参加した
SGSジャパン(株)認証サービス事業部食品認証部の名倉卓プロダクトリーダーは「FSSC22000取得による効果−メリットとデメリットについて」と題して講演した。同社は同規格認証の国内トップシェアを誇っている。
世界の主要な小売団体が同規格を認証したことにより、国内外で認証件数が増えている背景を説明した。また、認証機関としての立場から最前線の食品工場の取り組みを紹介した。
名倉氏はFSSC22000審査で重視するポイントとして、(1)生物的・化学的・物理的な食品安全ハザードがすべて抽出されて常に管理されているか、(2)文書類で規定された仕組みと現場での業務が整合しているか、(3)PDCAサイクルが順調に回っているか――などを挙げた。
“ポンジュース”が看板商品のえひめ飲料から講師に招かれた、松山工場の有田元一郎副工場長は「FSSC22000導入時の苦労と苦労以上の波及効果」と題して講演した。
同社は当初「大手取引先から取得要請を受け、範囲を限定したうえでFSSC22000の導入を決めた」という。しかし最終的には清涼飲料水から乾燥果皮(陣皮)まで拡大した。そのプロセスなどを紹介した。
「取得に向けた準備作業が実質1カ月という短期間だったため、膨大な書類を検証し、作成、改定するのに苦労があった」というが、それ以上に「短期集中による理解深度の向上や安全チームの総合力の底上げにつながった」とメリットを説明し、今後取得を考えている聴講者にエールを送った。同社は近く、東京工場や茨城工場でも取得に向けてプロジェクトを発足するとしている。
主催者プレゼンテーションとして、三和建設の川端康司チーフエンジニアが「省エネはプロセス改善のヒント」と題して講演した。
“建設”という立場から、食品工場に役立つテーマをセミナーごとに設定している恒例コーナー。今回は建物の伝熱対策として、“断熱”と“遮熱”について説明した。
「食品工場の熱と省エネの関係を理解するには“断熱”と“遮熱”、この2つの違いを把握しなければならない」という。
断熱が熱の伝導を遅らせることに対し、遮熱は輻射熱(電磁波)を反射できるとして、食品工場には有効とした。その一方で、「補助金が出る設備投資は断熱を主としたものが大半で、遮熱に対するものにはごく一部に留まっているため、その認知がまだ不十分」である点を指摘した。
同社主催の食品工場向けセミナーは次回、9月11日大阪で開催する。