〈年頭所感〉
包装学校事業が50周年、産業人材育成の役割を今後も担う
日本包装機械工業会 大森利夫会長

    大森会長

 2021年度のわが国包装機械産業の生産実績は、新型コロナウイルスの感染拡大による不透明感から、設備投資計画の見直しや先送り等により、対前年度比0.9%減の4269億円と前年度に引き続き減少となった。2022年度の生産計画においても4304億円と横ばいの見通しだが、今後、国内設備投資の自動化、省人化等の新たなニーズへの対応に加えて、成長する海外市場においても、これまで以上に市場ごとの国際化対応が求められている。

 ポストコロナ後の経済の見通しには不確実性があるが、改めて包装業界は食品・医薬・日用品など世界の人々の生活に不可欠で重要な産業と言える。特にこれまで以上に衛生意識の高まりから、より安全で安心な社会の構築のための役割が増している。

 一方で世界的な気候変動問題の高まりから脱炭素に向けた取り組みの動きも加速している。包装業界としては、関連の深いプラスチックの資源循環対策についてはユーザー業界、流通業界、消費者などすべてのステークホルダーと協力しながら持続可能な社会実現に向けて取り組むことが重要と考える。

 さらに包装機械を含めたものづくり産業を取り巻く環境はIoT、ロボット、AIなどの先端技術を活用しながら新たなビジネスを生み出していくことが、需要業界のビジネスの進化とともに産業の高度化につながるものと確信する。

 わが国の包装機械産業はこのような変化に対応し、人手不足問題、環境問題、食料問題等のさまざまな社会課題の解決に向けた取り組みを積極的に行っていく。当工業会としても包装産業の技術高度化、人材育成、広報推進、国内外展示会等の事業を幅広く展開することにより、会員をはじめとする関係者の事業に役立つと同時に工業会の価値向上に努める。特に今年は他に先駆けて推進してきた包装学校事業が50周年を迎える節目の年となる。産業人材育成の大きな役割の下、次なる発展に向けて記念行事等を計画している。

 当会の最大のイベントである「JAPAN PACK 2023 日本包装産業展」を10月3日から東京ビッグサイトで開催する。開催テーマは「未来への包程式−当たり前のその先へー」。最新鋭機器・技術・サービスの展示や最新トレンドを提供することにより、需要業界の自動化、環境問題などの社会課題の解決策に向けた包装総合展をめざす。事業内容の充実を図り新たなビジネスの発展にも貢献していく。