東京冷蔵倉庫協会(会長=五十嵐康之五十嵐冷蔵社長)は第21回「講演と懇親の夕べ」を18日、東京・港区の虎ノ門パストラルで開いた。協会会員を中心に約300人が出席。スポーツジャーナリストの二宮清純氏が「勝つリーダー、負けるリーダー」と題して講演した。
数々のスポーツ選手に取材経験を持つ二宮氏は「勝負は時の運と言われるが、運は回転寿司と同じで、我々の前をぐるぐる回っている。問題は運をつかむ能力が我々にあるかどうかだ」と述べ、最終的には「感度の問題」と結論づけた。
また、1988年のソウル五輪100m背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地選手がわずかでも速く泳ごうと、爪を伸ばしたエピソードを紹介し、「人事を尽くして天命を待つ、というのは聞こえがいいが、負けたリーダーの大半はそう言っていたように思う。鈴木大地は1カ月前に五輪会場に乗り込み、体を慣らすなどの入念な準備をし、最後は指が折れてもいいとの思いで爪まで伸ばした。勝つためには万全な準備と勝利への執念が不可欠。勝つリーダーは、天命を待つのではなく、“人事を尽くして天命をもぎとる”という姿勢で勝負に臨んでいる」と紹介した。
懇親会で五十嵐会長は東京・関東地区の庫腹状況に触れ、「東京地区の平均在庫率は39%で、これは明らかに入れ過ぎ。全国平均が32%だから、地方はもっと荷物が少なく、それに比べれば東京は恵まれているが、経営面で決してハッピーとは言えない。その証拠に、荷物が多いわりにはスクラップ&ビルドが20年間も滞っている」と問題提起。
さらに「築30年以上の“老人冷蔵倉庫”がゴロゴロしている。収支率の悪い貨物を思い切って減らすか、経営が成り立つ料金体系に改定するなどして、我々が目指すべき近代的物流の姿に近づけていこう」と呼びかけた。
乾杯の音頭はマルハニチロ物流の内山俊夫社長がとった。
二宮氏がリーダー論を語る