流通加工用の付帯設備を２期棟に整備
ＳＣＧニチレイロジ（上）
ニチレイロジグループとタイのＳＣＧ Logistics Managementの合弁会社「ＳＣＧニチレイロジスティクス」（ニチレイロジグループ本社49％出資、沼田英彰社長）は、タイ国サムットプラカーン県の低温物流センター（１期棟）の隣接地に２期棟をこのほど立ち上げた。貨物の約５割が鶏肉関連。主な保管品は輸出用の鶏肉など畜産品や原料果汁、輸入品の乳製品や冷凍食品など。
保管、輸送に加え、凍結や解凍、海上輸送手配等のニーズに応えていく。保管設備増強と付帯サービス機能の提供で、寄託者の幅広いニーズに応える。
２期棟の設備能力２万4660ｔ（Ｆ級１万6670ｔ、Ｃ級4210ｔ、定温室3780ｔ）。１期棟と合わせた総設備能力は４万7460ｔ。
ＳＣＧＮ２期棟の外観
凍結室160�屐�解凍室250�屐�
凍結処理能力は１日24ｔ
ＳＣＧニチレイロジスティクス（ＳＣＧＮ）は2013年６月に設立。低温物流センター（１期棟）は2014年11月に完成、稼働した。立地は首都圏のバンコク市街と同国最大の貿易港「レムチャバン港」を結ぶ主要幹線道路沿いで、交通の要衝にある。バンコク中心部まで約40km。ＳＣＧＮの日本人スタッフは沼田社長を含め現在４名。
このほど立ち上げた２期棟に、急速凍結や解凍室など流通加工用付帯設備を整備した。凍結室160�屐�解凍室250�屐Ｅ犒觸萢�能力は１日24ｔ。解凍はチルド調整、または送風調整で均一に解凍を仕上げる。こうした付帯設備は１期棟になかった。
１期棟を運営する中で、凍結や解凍の需要が高いことが判明した。多様化するコールドチェーンのニーズに対応するため、２期棟に凍結室と解凍室を備えた。
ＳＣＧＮ２期棟の解凍室
ニチレイロジグループ本社の中村俊文執行役員海外事業推進部長は「１期棟を運営する中でつかんだニーズを２期棟で取り込む」と目的を示す。
タイのメインユーザーにブロイラーメーカーがあるが「生肉の凍結・保管、出庫前の解凍を要請されることが増えてきた」という。
また「果汁原料を受託しているが、入荷時のまま保管すると庫内温度が上がる。そこで凍結室を活用する」と説明する。
２期棟に定温室を備えた。プラス20℃設定で常時コントロールし、粉・パウダー、油などを保管する。タイ国は外気温が高いため、保管温度を下げ過ぎると、結露する恐れがある。そこで定温室を活用し、従来以上に幅広い品目を２期棟で請け負う。
ラックで多品種・小ロットに対応しやすく
２期棟の冷凍（Ｆ級）倉庫と冷蔵（Ｃ級）倉庫の面積比約９割に移動ラックと固定ラックを導入した。１期棟は平置きが中心だった。２期棟は多品種・小ロットに対応しやすいよう、移動ラックと固定ラックを積極的に採用した。保管効率が高いラックを生かし、鶏肉加工品や冷凍食品などの製品を取り込む。
荷役作業は１期棟と同様にフォークリフトを活用する。荷捌き場には柱がなく、荷捌きしやすい。バースにはドックシェルター、エアーシェルターを設置し荷捌き場の冷気流出を防ぐ。２期棟のバース18基のうち５基はピックアップトラック（小型車）専用とした。
ＳＣＧＮ２期棟の移動ラック
２期棟も安全規格ＢＲＣを年内に取得予定
ＳＣＧＮは１日50台程の低温輸送車を運行する。車両タイプは40フィート車、12ｔ積載車、７ｔ積載車、ピックアップトラックと多岐にわたる。保管と輸送をセットで事業を拡大している。
海上輸送手配のサービスも昨年から提供し始めた。これも拡大を図る。
冷凍食品の出荷先はタイ国内向けが多い。また、鶏肉製品は輸出がメイン。果汁原料は輸出が多い。鶏肉の原料は主にタイ国内向けだが、日本や欧州向けもある。
ＳＣＧＮの１期棟は国際的な保管･流通規格ＢＲＣ Global Standard for Storage and Distributionを2019年10月29日（監査は８月）に取得した。さらに2020年10月２日付で更新した。２期棟は同認証を年内に取得予定。ＢＲＣは英国小売業協会の認証だが、英国に限らず、欧米向けの輸出拠点として信頼獲得につながる。
（次号につづく）