ミールキットの新ブランド始動、調理時間はわずか15分

 ワタミは宅配ミールキットの新ブランド「あっ!と ごはん」を立ち上げ、商品の提供を1日開始した。主菜と副菜の2品がわずか15分以内で完成するという「時短調理」が最大の売り。カット済みの冷蔵食材とオリジナル調味料、レシピをセットにして配達員の「まごころスタッフ」が自宅に届ける。

 ワタミはチルド弁当や冷凍惣菜、子供向けミールキットの宅食サービスを手がけているが、高齢者や若い世代が中心で、40〜60代は「空白地帯」(森園啓司宅食ダイレクト・キット事業本部長)だった。今回の新ブランドは小学生以上の子どもがいる共働きの世帯や夫婦2人世帯がコアターゲット。時短調理と負担軽減のニーズに対応し、新たな購買層を取り込む。

 ミールキットは子ども向けの「PAKU MOGU(パクモグ)」を今年2月から先行展開している。「PAKU MOGU」がオムライスやグラタンなど子どもが好むメニューに特化しているのに対し、「あっ!と ごはん」は大人でも楽しめる、香りやスパイスの効いたメニューを提供する。

「彩りおうちごはん」コースの1品、「包丁いらず 回鍋肉」(主菜、手前))と「糸こん
にゃくの磯辺煮」(副菜)、写真奥はミールキットの商品形態

週1日・2人用で1198円から

 コースは鶏唐揚げやチーズ入りポークカレー、韓国風焼肉など、ふだん食べ慣れている定番メニューの「彩りおうちごはん」と、濃厚味噌カツや黒酢酢豚、ヤンニョムチキンなどの外食メニューが特長の「華やぎおみせごはん」の2種類。副菜は主菜との相性を重視し、ガリバタ(ガーリックバターソース)キャベツや、セロリと4種類ビーンズのトマトスープ、里芋と厚揚げの煮物など「単品で食べてもおいしさに自信がある」(森園本部長)メニューを揃えた。

 利用者は月曜日から土曜日の間で、配達の曜日と日数を1日から選ぶことができる。

 「彩りおうちごはん」の利用料は週1日利用で2人分1198円、3人分1797円。週2日利用で2316円、3474円。「華やぎおみせごはん」は週1日利用で2人分1298円、3人分1947円。週2日利用で2516円、3774円。いずれも税込み。

 全国530拠点の営業所に登録する約8000名の「まごころスタッフ」が毎日届けるため、送料はかからない。

ソースやたれ、出しなどのオリジナル調味料の味付けには外食事業で培った知見やノウハウ
が活かされている、計量済みが時短調理に貢献する

15分で完成する工夫が随所に

 「時短調理に徹底的にこだわり、主菜と副菜2品を15分以内で完成させることを絶対条件にした」。

 森園本部長は7月29日の商品発表会でそう語り、すべてのメニューが検証済みであることを強調した。15分で完成させるために食材の9割以上をカット済みにしているほか、調味料は計量済みの袋詰めを用意した。レシピも工夫し、主菜と副菜を段取り良く調理するための手順を簡潔にまとめている。

 森園本部長は「主菜と副菜の調理工程を何度も見直しながら、(15分で完成する)最適な組み合わせを実現した」と語る。

 メニューは80種類を揃えたが、これでは2カ月後に同じメニューが回ってくるため、今後ラインナップを100まで増やすという。

 ワタミは外食事業の低迷が続く一方、宅食事業はコロナ前に比べて10%増で堅調に推移している。2021年度は会社全体の売上げの7割超を宅食事業で稼いだ。2022年度は宅食事業の強化を前面に打ち出しており、ミールキットの販売食数もこれまでの1日1万食から3万食に増やす。

商品発表会にゲスト参加した料理研究家のもあいかすみ氏(右から2人目)と森園本部長
(左から2人目)