次世代食品工場とは、ＳＤＧｓ、ＤＸの視点で学ぶ
食品工場建設・総合エンジニアリングの中設エンジ（名古屋市、今井重利社長）と、食品製造現場のペーパーレス化をデジタル技術で支援するカミナシ（東京都千代田区、諸岡裕人ＣＥＯ）は無料ウェビナーをこのほど開催した。
「アフターコロナを見据えた次世代食品工場の姿」をテーマに、中設エンジのエンジニアリング本部の鎌田彰一氏とカミナシの田島巧平氏がＳＤＧｓやＤＸ（デジタル変革）を具体的にどのように進めるべきかについて解説した。
鎌田氏は食品工場で採用可能なＳＤＧｓの目標は「７.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「８.働きがいも経済成長も」など６つあるとした。そのうえで、具体的な取り組みとして�。贈達弌併�業継続計画）、�▲螢汽ぅ�ル材の活用、�Ｃ淵棔璽訐愁瀬�トの採用、�ぜ�然冷媒の利用、�ソ抄醗�への配慮、�ΕΕぅ襯溝从�、��未利用エネルギーの回収利用を挙げた。
この中で「従業員への配慮」については、女性の更衣室にパウダールームとシャワールームを設置したり、荷物の段積みや荷下ろし作業を補助する重量物搬送機を導入したりすることを提案した。鎌田氏は「Well-being（ウェルビーイング）が近年注目され、生産性に影響を与えると言われている。働きやすい、働き続けたい環境の整備は今後重要になる」と強調した。
セミナーではロボットを活用した製造現場の省人化・省力化の取り組み事例も紹介した。
中設エンジのロボット活用事例、レトルトパウチの充てん・包装からローダー、殺菌、アン
ローダーまでを自動化した（同社資料から）
紙からデジタルへ、負担も時間も大幅削減
カミナシの田島氏は食品工場のＤＸについて品質管理の業務フローを例に挙げ、帳票作成→記録→確認→集計・報告→改善を滞りなく実行するには、これまで時間を多く費やしていた帳票作成で紙ベースからデジタル化へ切り替えることが必要と指摘する。
製造現場の多くは今もエクセルで帳票（設備機器の点検票など）を作成しており、様々な部署で様々な帳票が飛び交っており、適切に管理できていない。カミナシが提供する現場ＤＸプラットフォームは必要項目をクリックするだけで誰でも簡単に作成できる。田島氏は「当社サービスの利用割合は非ＩＴ部門が実に96％に上る」と使いやすさを強調する。
点検内容をチェック（記録）する際も紙ベースでは抜け漏れや誤字脱字が発生したり、水や油に濡れて不衛生になったりするが、タブレットで記録を進めることで正確性や信頼度、証明力が高まる。
確認→集計・報告でデジタル化を進めれば目視確認の負担軽減、紙ファイルの保管不要、データ転記不要、情報の可視化といった効果が期待できる。
田島氏は試算ベースと前置きしたうえで「コンテンツ（点検チェック表など）をデジタル化するだけで、転記作業や紙・インクの費用合わせて年間約300万円の削減になる」とコスト面でも大きなメリットがあることを強調する。
カミナシの導入先は5000カ所に上る。導入先の１つ、群馬ミート（写真）はＨＡＣＣＰ対応
で複雑化した品質管理をカミナシで効率化し、75％の作業時間削減を実現した