アイピックの「ウォークス
ルータイプPCR検査用ブ
ース」、1週間で開発した
外出自粛要請で企業活動に影響が広がる中、本業の製造技術やノウハウを新型コロナ対策に役立てようとする動きが製造業に広がっている。
工場や事務所などのパーテーションの製造・施工を手がけるアイピック㈱(東京都千代田区)はウォークスルー方式による「PCR検査用ブース」を開発した。文化シャッターと提携し、首都圏エリア限定で7日から発売開始した。
ウォークスルー方式のPCR検査は韓国が採用し、感染拡大の防止につなげている。同社によれば、韓国の検査ブースは日本の「喫煙ブース」をヒントに製造されたという。
同社は大手居酒屋チェーンなど500店舗に喫煙ブースを納入している。これまでに培った実績とノウハウを応用し、今回のPCR検査用ブースをわずか1週間で開発した。
日本国内でも、感染拡大防止と医療従事者保護の観点からPCR検査を医療現場から切り離し、検査数を増やすことが求められている。すでに検査ブースを活用した同様の検査体制を検討、採用する自治体が出始めている。
「ウォークスルータイプPCR検査用ブース」は幅930㎜×奥行930㎜×高さ2300㎜、140㎏。1名が入れるスペースを確保し、凸凹が少ない仕様で検査ごとの消毒、清掃を容易にした。必要に応じて陰圧・陽圧に切り替えられる装置の設置が可能。生産能力は月間300セット。
住友ベークライトのフェイスシールド、装着イメージ
食品包装用フィルムなど樹脂加工大手の住友ベークライトは、プラスチック加工技術を生かした飛沫感染防護(フェイスシールド)を生産開始する。フェイスシールドは医療従事者の二次感染を防ぐ防護具。プラ板などで顔面を覆い、飛沫による感染を防ぐ機能がある。
同社はプラ配合技術やシート化技術を生かし、医療用ゴーグルやサングラス用のポリカーボネート樹脂を生産している。今回は透明性が高くてゆがみもなく、軽量で高強度のポリカーボネート樹脂を使ったフェイスシールドの生産・供給体制を整えた。
消毒用アルコールによる曇りや強度低下が起こりにくいため、繰り返し使用できる。
頭部の装着部分は、工業用ヘルメットの内部に採用しているホルダーの技術を応用した。細かなサイズ調整のほか、ボタンひとつでホルダーを緩めることができる。
ホルダー1個と交換用面体10枚入りで1セットの試供品100セットを東京都内と神奈川県内の医療機関に無償提供する。販売は月産1万セットの体制で5月中に開始する。当面は医療機関への供給を優先するが、コンビニやスーパーなど民生用も今後販売する。
バンドを締めて固定し、緑ボタンを押すと緩む