アンリツ産機システムは検査機器の検出原理や使い方などを解説する「テクニカルノート」のVol.9を発行した。テーマは「X線検査装置のアルゴリズム」。そもそもアルゴリズムとは何か、アルゴリズムを変えると何が起きるか、餃子やチョコレートを流したときの実用例などを解説している。
テクニカルノートのVol.9の画面。
特設サイトでは、バックナンバーも閲覧できる
X線検査装置はX線をワークに照射して撮影した透過画像に画像処理を行い、異物を強調するのに都合のいい影(線の塊り)だけを取り出して判定に利用している。一度に処理できる画像処理(フィルター)の数は複数あり、その組み合わせをアルゴリズムと呼んでいる。食品の密度や形状、異物の密度や形状から、望ましいアルゴリズムは異なる。
最適なアルゴリズムを選べば製品の影を薄くして、異物の影を強調することができる。しかし食品の組成や形状は様々で、シリアルのように小片が重なり合って袋に入っているものや、バターのように厚みが一定の塊状のものもある。検査対象となる製品それぞれに特有の濃淡度合の透過画像が現れるが、異物と間違えやすい特長的な影が出現することがある。
この特長的な影の出現を予測した画像処理をあらかじめ用意しておき、その出現を抑制できれば誤検出が減り、リミットも下げられるため、より小さな異物を検知することができる。反対に、製品の特長に適さないアルゴリズムを選ぶと誤検出が多くなる。
テクニカルノートの最新号では、実際にアルゴリズムを変えて、商品の影がどう変化するかを、同社のX線検査装置「KD7405AWH」の射影モニタを使い、トレー入り餃子やキューブチョコの袋詰め、重なりのあるソーセージ、固くて表面がごつごつしている焼き豚を実例に解説している。また、テストピースを用意して、いつもと違うアルゴリズムで試している。
テクニカルノートは検査機に関することを毎号テーマに挙げ、わかりやすくレポート。同社の特設サイトで公開している。「検査機の導入を考えているものの、初めてなのでよくわからない」、「その機能のことは何となくわかっていたが、正しく理解していなかった」というユーザーの声に応える。検査機やその機能など特定のテーマに焦点を当て、わかりやすく解説するだけでなく、カタログなどでは伝えられない情報も提案している。
2011年2月に初版を開設、不定期発行。これまで「X線異物検出機 バラ流し検査」、「オートチェッカと計量精度の関係」などをテーマに掲げてきた。今回で9回目。