<中国シリーズ第1弾>
たこ焼10%増と好調、原料価格上昇も回復に転ず
山東龍大冷凍食品有限公司

 山東龍大冷凍食品(山東省)で好調に推移しているのが「冷凍たこ焼」。昨年4月、主原料の「たこ」の優遇関税が撤廃され、原料価格が3割以上も上昇。ユーザーと価格面で折り合わず厳しい展開を余儀なくされていたが、「当社は前年比110%と好調に推移しており、完全に下げ止まり、回復に転じている」(ノースイ・鈴木邦宏莱陽駐在員事務所代表)という。

    いまや主流となった自動たこ焼機

 同社は1995年、日本のノースイと中国の龍大食品食品集団の合弁会社として発足。和惣菜とたこ焼を中心に生産してきた。中国進出当時、たこ焼は人海戦術に頼った『手焼き』のみ。原料や人手が潤沢だった頃は良かったが、年を追うごとに原料高、人件費高、人手不足と環境が著しく変化。生産を続けるか、否かの判断を下す時間が迫っていた。
 そこで、同社は2012年に自動たこ焼機の第1号機を導入。試行錯誤を繰り返した上で、3年後の15年に進化させた改良型2号機を導入した。これにより生産性が一気に上がったものの、今度は生産能力に見合った数量が出ない。原材料の高騰で、価格的な魅力が薄れたためだ。
 現地駐在員事務所の鈴木代表は「今は手焼きするたこ焼はごくわずか。要望に応じて生産している程度。もし、自動たこ焼機を導入していなかったら、と考えると恐ろしい」と振り返る。
 たこ焼の需要が回復している要因については「電子レンジの他、揚げ、スチームコンベクションと様々な調理に対応してきたことに加え、昆布だし生地の開発など工夫を重ねてきた結果だろう」と語る。
 同社の自動たこ焼機は独自に開発したもので、補正を繰り返しながら効率的な生産を実現している。具材のたこも機械で自動投入するが、ここには人を配置して、具材のたこが確実に投入されたかをチェック。万が一、余分に投入されたり、投入されなかった場合は人手で補正している。生地の投入や反転も自動化されている。
 包装後の段ボール詰めはロボットアームが担っている。

        手洗い場

   エアシャワー

ラインの壁や天井を防火仕様に交換

 パートナーの龍大食品集団は、今年春から秋にかけて、環境保護や安全確保のため老朽化していた機器設備を交換した。
 和惣菜の加熱工程ラインの壁や天井を防火仕様に交換した。同様に、たこ焼ラインも天井を完全防火型に変えたが、「需要が伸びているため工事期間前に作りだめして対応した」(鈴木代表)という。

     防災仕様に変更した加熱工程