キッコーマンは野田産業科学研究所と東京大学、東京工業大学と共同で、麹菌「アスペルギルス・ソーヤ」のゲノム(全遺伝情報)解析に世界で初めて成功した。これによりたん白質やペプチドを分解する多数の酵素情報が得られ、醬油の生産効率を上げたり、健康機能性ペプチドを含む食品製造が期待できる。
「アスペルギルス・ソーヤ」は「アスペルギルス・オリゼ」と並ぶ日本を代表する麹菌の1種。従来、醬油や味噌などの醸造現場からしか見出されず、進化的にも遺伝子資源の面からも世界的に関心がもたれてきた。
今回、「アスペルギルス・ソーヤ」のゲノムを、次世代シークエンサーを用いて解読し、約3900万塩基対のドラフト配列を決定した。今後、「アスペルギルス・オリゼ」と比較して、さらに詳細なゲノム解析を進める。
ゲノム解析した「アスペルギルス・ソーヤ」は「アスペルギルス・オリゼ」と比べるとたん白質を分解する能力が高く、醬油や味噌など大豆を原料とする醸造食品の製造に主に利用されている麹菌。このゲノムを解析することで、たん白質やペプチドを分解する多数の酵素に関する情報を得ることができる。これらの情報を元にしてたん白質やペプチドを分解する酵素を多量に作るように改良することで、醬油の生産効率を上げたり、よりおいしい食品や健康機能性ペプチドを含む食品を製造できるようになるなどの成果が期待される。