第2次補正予算、水産加工などの復旧事業600億円

 東日本大震災で水産加工業者が大きな被害を受けたが、政府は第2次補正予算を成立させ、被災した水産加工業の復旧向けに水産庁予算193億円、中小企業庁予算100億円(うち、半分が水産加工向け、残り半分は一般食品加工業者向け)をあてる。これらの事業規模は、補助率から勘案して水産庁予算3分の2助成(一部は2分の1もある)であることから300〜400億円、中小企業庁は2分の1助成で200億円(水産加工業は半分の100億円)の総額500〜600億円となる見通し。
 これまで激甚災害法では、被災した漁業者の漁船に対して助成していたが、このたびの大震災では、激甚災害制度を拡大解釈し被害を受けた水産加工業者にも同様の助成をするもの。漁船と同様に共同利用設備ではあるが、それぞれの業者が組合またはグループから機器を貸与する形で使用し、数年後には供与される。

第1次補正は中小企業庁が150億円

急がれる水産加工場の復旧

 すでに第1次の補正予算では加工業者向けの復旧として、水産庁関係18億円が出ているが、これらは産地市場の製氷設備など緊急的に導入が必要なこところに配分されている。また、中小企業庁の150億円の予算のうち水産加工業には半分が振り向けられたとみられる。
 このうち、第1次補正予算の中小企業庁の予算では、被災した加工業者が多い宮城県に3分の2程度、54億円が配分される見通し。この中小企業庁の予算は国が2分の1、県が4分の1の補助率となっていることから、宮城県ではこれに合わせ27億円の予算を確保している。また、宮城県では、この第1次補正予算の中小企業庁の復旧予算を女川町と南三陸町の地域の水産加工業者に振り分けている。
 また、第2次補正予算として水産庁が198億円、中小企業庁は100億円が計上されたことから、やはり宮城県ではそれぞれ70%が振り向けられると見ている。

宮城県、第2次は気仙沼と石巻地区に投下

 宮城県では第2次補正予算を女川町と南三陸町以外の地域である気仙沼市や水産加工業者が多い石巻市を中心とした塩釜市、亘理市などの地区に振り向けると言われている。このうち、気仙沼市は市の行政が中心となり作業が進められることになる。
 しかし、水産加工業者が多い石巻市を中心とした地域では、特に業者間のまとまりが悪いことで定評がある。5名以上で組合やグループを組織して、共同利用計画を作成、申請することになっているが、こうした申請に至るまでの組織が事務手続きで大きな課題が残っている。これらの地域でもすでに、まとまりやすいグループでは、第1次補正予算においても申請したところもあるものの、多くの業者は制度を理解していない場合が多数。このため、水産加工業業者向けの第2次予算に配分をめぐり、各者の思惑が錯綜しており、今後、どのように予算化が調整されるのか注目が集まっている。