大日本印刷は常温でアルコール飲料を長期保存できる口栓付き紙容器で、廃棄時に従来よりも容易に解体できる、資源リサイクルに適した「DNP易解体液体紙容器」の新タイプを4月発売する。清酒、焼酎などの酒類業界向けに販売し、2018年度に5億円の売上げをめざす。
アルコール飲料向けの液体紙容器は、内容物を保護するためバリアフィルムの紙への貼り付け強度を高めている。そのためリサイクルや廃棄する時、解体に手間がかかる。
そこで、廃棄時に容易に切り開ける「解体しやすいタイプ」、紙層と内装のフィルム層を簡単に剥がして分離できる「紙とフィルムを分離できるタイプ」の2種の液体紙容器を昨年5月開発した。
今回は「解体しやすいタイプ」で、容器の天部に特殊な易開封加工を施し、天部の開封性を大幅に改善し、解体をさらに容易にした。
従来品と比べて密封性やシール強度などに差はなく、また既設の充填機などの生産ラインで対応できるので、設備改造や新規設備導入の必要がない。
環境に配慮した生活を心がける人が増えており、これらの人々は省資源化やリサイクルなど、環境負荷低減に向けた企業の取り組みを高く評価している。
同社は水蒸気や酸素の透過を抑える多層バリアフィルムを1983年開発し、パッケージの内容物の保存期間延伸などに取り組んできた。また、植物由来の原料を一部に使用した包装材「バイオマテック」シリーズを提供するなど、生物多様性・持続可能性の確保に配慮した多様な包装材を開発している。
今回大幅に向上した開封性は、人間工学的解析手法の触動作センサーで評価した。触動作センサーは、作業時の指腹にかかる力(接触力)や指の動き(加速度)を指腹の感覚を阻害することなく計測できるセンサー。
同社はパッケージ評価に特化したオリジナル解析プログラムと触動作センサーを組み合せ、使いやすさに影響を与えている要因を数値データで特定。使用行動のどの部分に問題があるのかを明らかにしパッケージの開発、改善を進めている。
「DNP易解体液体紙容器」の評価にもこの手法を使い、容器の天部の開封にかかるエネルギーを計測したところ、易開封加工を施した開発品は、従来品より60%少ない力で開封ができ、牛乳パックとほぼ同等の力で開封できることを確認した。