野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −22−
社長の5S推進運動宣言

 先週号で紹介した、私が5S活動を指導した食肉のパン粉付け商品をメインとする会社の社長は、そのスタートに5S推進運動の宣言を発した。以下、その内容を紹介する。

 当社ではこれまで、食品に対する消費者の安全志向に応えて「安心・安全で、信頼される食品作り」をモットーに品質重視の生産活動を進めてまいりました。
 このたび、この活動をさらに推進し、製造部門のみならず事務・営業・開発部門を含む全社的取り組みにより、「仕事をやりやすく、楽しく働きやすい職場を作る」ことをめざし、また、消費者に対しては当社製品の安全性を再認識してもらうことを念願し、個々に新たに「5S委員会」を発足させました。
 今回、全社各部門から選出された委員で構成する5S委員会では、「パトロール班」を組織しましたが、パトロールに当たっては5S運動を全社員に周知徹底するとともに、あわせて生産性の向上によるコスト低減意識を高めるようご協力いただきたいと思います。
 5S委員の熱意で「やらされる5S運動」から「自らやる5S運動」になるように、また自ら進んで継続実行し、習慣づけることにより、その成果を大きくあげていただけるよう期待します。
 『改善は全員参加することに意義があり、その主役はもちろんあなたです』

 以上が社長の宣言だった。
 この宣言は事務所玄関、各工場入口に掲示された。従業員、顧客への社長の意思表示である。この宣言により従業員は安心して運動に参画することになる。
 また、この宣言がないと途中で挫折します。訪問する顧客は「変わったな」という印象を受ける。ISOなどのキックオフ宣言と同じ重みを持つ。