学校給食の牛乳パックに植物由来の新包材、4月から順次供給

 食品加工機や紙容器充てん包装システムの大手サプライヤー、日本テトラパック(東京都港区、アレハンドロ・カバル社長)は学校給食で使われている牛乳用紙容器「テトラブリック」のコーティング材に植物由来ポリエチレンを導入し、新包材として4月から順次供給すると発表した。

 学校給食の牛乳紙パックに植物由来ポリエチレンが使われるのは日本初。日本テトラパックによれば新包材の再生可能資源の比率はこれまでの77%から99%に高まり、約23%のCO2排出量削減につながるという。

 供給先の乳業メーカーはいかるが牛乳(大阪市)、オーム乳業(福岡県大牟田市)、九州乳業(大分市)、四国乳業(愛媛県東温市)、泉南乳業(大阪府堺市)、チチヤス(広島県廿日市市)、森乳業(埼玉県行田市)の7社で、全国約2580校の小中学校へ提供される。

    植物由来ポリエチレンを使用した新包材でできた各乳業メーカーの紙パック

 新包材に使用するポリエチレンはサトウキビ由来のもので、サトウキビは持続可能なイギリスの生産調達・流通認証(ボンスクロ認証)を取得している。これまでの化石由来から切り替えることで年間1100tのプラスチック削減が可能になる。

 植物由来ポリエチレンを使った容器はイギリスの「Carbon Trust」認証ラベルを印刷することが許され、視覚的にCO2削減率を訴求できるようになる。「Carbon Trust」は炭素排出量の削減や資源効率の向上などに関するガイダンスを企業に提供する世界的な組織で、今回は紙容器の生産過程で発生する炭素排出量を算定したうえで、従来容器と比較した削減率を表示する。

 新包材の導入に際しては乳業メーカーが新たに設備投資をする必要がないため、さらに複数の乳業メーカーが導入を検討している。日本テトラパックは包材製造の御殿場工場(静岡県御殿場市)において、2023〜24年度で総額約49億円の大型投資を行う計画だが、新包材の生産設備の拡充や供給体制の強化も投資の目的の1つという。

     新包材に切り替えることで再生可能資源比率を高めることができる