前川製作所は自然冷媒を使った高効率冷凍ユニット「NewTon」シリーズの販売が好調で、2008年に第1号機を納入してから今年7月までに500台の出荷を達成した。8月1日、同社の守谷工場で関係社員による祝賀会を開いた。
冷凍機に使われてきたフロン冷媒のHCFC−22は2020年に全廃となるため、冷蔵倉庫や冷凍食品工場では入れ替えが必要となるものの、フロン機を自然冷媒機に入れ替える動きは当初鈍かった。
しかし、ノンフロン機に対する環境省などの補助金制度や、NewTonを導入した企業でその省エネ効果が実証されて「口コミでも知られるようになり」(同社)、このところ出荷台数は大きく伸びている。
第1号機を日水物流の川崎物流センターに導入した2008年は12台だったが、09年40台、10年40台、11年90台、12年100台、13年100台と右肩上がりで出荷を伸ばしてきた。今年は7月までに100台、通年で200台以上の出荷を見込んでいる。
NewTon事業部プラント営業担当の宮崎優部長は「当初は自然冷媒の話をしてもなかなか採用まで進展しなかった。それが業界内での口コミ、環境省の補助事業の充実などが追い風になり、販売が増えた。こんなに早く500台を達成できるとは思わなかった」と感慨深げに語る。
技術面で開発当初から関わってきた浅野英世取締役は「現状は冷蔵倉庫への利用が多いが、今後は冷凍食品などのフリーザー需要が増加すると見ている。再来年には累計で1000台を超えるだろう」と語っている。
ニュートンと浅野取締役
発売以来、改良を重ねていることで完成度が当初より高まっていることも近年の販売を後押ししている。社内的に4年に一度の大リニューアルを課している。1回目のリニューアルでは熱交換機をセルチューブ方式からセルプレートに変えたほか、様々な見直しを行った。2回目の大リニューアルを予定する来年は熱交換器を見直し、よりシンプルな構造を目指すとともに、ユニット外部のエアクーラーも含めたトータル的な効率化を進める方針。
さらに、遠方監視システムや保全診断システムなどのサービス体制によりギャランティーが増し、台湾などの海外でも採用が増えているという。
専用製造ラインを昨年守谷工場に設置したが、今後見込む出荷の増加に対応し、来年には同ラインをさらに増強する。
NewTonはオゾン層の破壊や地球温暖化を防ぐ自然冷媒のアンモニアでCO2を冷却する間接冷却方式を採用。熱特性に優れた冷媒アンモニアを機械室に閉じ込め、漏らさない構造を徹底して追求することで高効率と安全性に寄与している。
専用ライン(守谷工場)