農作物の輸出拡大に向けて栽培作付手法を確立する取り組み

 パナソニック、伊藤忠テクノソリューションズ(=CTC)、野菜プラネット協会、横江ファーム、開発営農組合、JAおうみ冨士はコンソーシアムを組み、農作物の輸出拡大に向けた栽培作付手法を確立する実証実験を開始した。
 パナソニックは双方向クラウド型農業管理システムの輸出対応システムを開発・提供、CTCは海外残留農薬値データベースの構築、野菜プラネットはGAP取得支援映像コンテンツの制作、横江ファームと開発営農組合は輸出向け農作物の栽培、JAおうみ冨士は輸出向け農作物の栽培指導とGAP取得サポートをそれぞれ行う。
 2020年3月までの期間中、このシステムを活用し、横江ファームと開発営農組合が栽培を、JAおうみ冨士が栽培の指導などのサポートを行い、ICTを活用した輸出向け農作物の栽培作付手法の確立と農業経営の安定性や効率性を検証する。
 実証実験を経た後、パナソニックはこのノウハウを正式なサービスとして全国に普及する。この実証実験は、農林水産省経営局が推進する「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」の補助事業に認定されている。

 海外での日本食ブームにより日本食材の人気が高まっている。政府は、農林水産物・食品の輸出を2019年には1兆円にする目標を掲げており、今後急速な農作物の輸出拡大が見込まれている。
 国内で栽培される農作物を輸出するには、輸出先各国が規制する残留農薬値内にする必要がある。現在は個々の生産者が自身で対応しているケースが多く、手間がかかるだけでなく、税関検査でも残留農薬規制違反となるなどの事例が見られる。このような状況を受け、各国の残留農薬規制に対応できるシステムの導入や、農業生産工程管理ツールであるGAPの取得ニーズが高まるとみられる。
 パナソニックは昨年12月からサービスを開始している双方向クラウド型農業管理システム「栽培ナビ」に、CTCが開発する海外を中心とした残留農薬データベースを連携することで、輸出を希望する農業法人や農業者に、対象国向けの残留農薬情報の提供と栽培手法の確立をサポートする。「栽培ナビ」は、JGAP2016、ASIAGAPに対応しており、野菜プラネットが制作する農業者向けの「GAP取得支援映像コンテンツ」を組み込むことで、より便利なシステムとして、GAP取得の促進を図る。