東急Gのハム・ソー工場、最新設備に随時更新
セントラルフーズ 狭山工場(1)

 東急百貨店グループ、セントラルフーズ狭山工場の生産アイテムはハム・ソーセージ(ロースハム、ベーコン、ウィンナーなど)、冷凍食品(ハムカツ、メンチカツ、ハンバーグなど)、惣菜(焼き上げハンバーグ、焼豚、スープ、ソースなど)と幅広い。ハム・ソーセージだけでも250品目。ギフト時(6〜7月、11〜12月)には400品目にものぼる。2013年の生産量はハム・ソーセージで1070t、冷凍総菜で530tとなった。
 製造部門は140名が働き、加工肉製造(製造1)、包装(製造2)、冷凍食品・総菜製造(製造3)のように担当を3つに分けている。さらに、「製造1」は原料管理や原料処理、ローゼンハイム(布巻ハムやパテなど同社のブランド)、加工、加熱に分かれている。

 原料管理は製造で使用する原料の発注、原料の入庫と保管、翌日使用する原料の解凍、店舗や取引先への商品の出庫を担当する。冷凍・冷蔵庫での作業が中心で、狭山工場の製造ラインの入口と出口の役割を担っている。
 解凍室では、原料を棚に置き一晩かけて解凍する「静置解凍」と、水でエアを出しながら解凍する「水解凍(空気解凍)」の2つの工程がある。ファンを使って温度をコントロールし、最初は暖かく、溶けた頃に一気に温度帯を下げる。原料が大きかったり、重なり合ったりして溶けきれない条件もあるため、そのようなときには水解凍を行う。

原料を棚に置き一晩かけて解凍する「静置解凍」

水でエアを出しながら解凍する「水解凍」

 原料処理は解凍した原料の成型から漬け込みまでの下ごしらえの工程を担当。原料の脂、スジ、骨を取り除き用途別にカットする。豚のロースならば、成型して油を抜き、赤身を削ってロースハムになり、その際に出る端材はウィンナーやソーセージなど加工品となる。
 カット後はインジェクター、マッサージタンクで味を付けて、桶に漬け込む。多いときは1日4tの原料を成型し、すばやく作業を行う。
 インジェクターは国産の機種を使用。針の形状など同社独自のノウハウを盛り込んだ。3年前に導入した機種だが、「この国産メーカーの技術は群を抜いている」と精度の高さを評価している。マッサージタンクは14台備えている。

原料処理の様子、スタッフは手際よく作業している

骨を取り除き用途別にカット

インジェクターで味付けを行う

 加工室には、ハムやウィンナー、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉全般の機械が多彩に並んでいる。
 原料処理で漬け込んだ原料肉をチョッパーやカッター、スタッファー(太物ソーセージの充てん機)、ハントマン社製充てん機などの大型機械を用いて大量生産を行う。カッターは昨年8月に更新したばかりのオーストリア・ラスカ社製を使用。時間200kgの能力を持ち、刃が高速回転してウィンナーの練り肉を製造していく。
 ベーコンやスペアリブなど手作業の製品は、スタッフは漬け込んだ豚バラ肉をリテーナー(ベーコン成形器)に入れ、手際よく生産している。

導入して間もないラスカ社の大型カッター

ソーセージの製造

 加熱工程。加工で製造した製品の加熱全般(乾燥、スモーク、蒸煮、焼成、湯煮)と包装済みの製品の加熱殺菌を2名のスタッフが担当している。加熱室にはスモークハウスやボイル槽、冷却用のシャワーを設置。一度に何種類もの製品を加熱し、効率よく作業を進めている。
 ウィンナーやロースハム、ベーコンは乾燥工程に。表面を乾燥させてからスモークし、表面に色をつける。その後蒸煮する。プレスハムは湯をかけて加熱する(湯煮)。ローストビーフや焼豚はオーブンが2台ある焼成ラインに。同社のローストビーフは真空調理式で、表面を焼いたのち粗熱をとって真空パックする。その後ボイル槽で湯を使って熱を加える。
 加熱が終わった製品は粗熱を取るため、チラー水を30分かけてシャワーリングする。粗熱を取った製品は冷却室へ運ばれる。冷却室の温度は1〜2℃ほどで、製品の中心温度が10℃以下になるまで冷やす。ここではオゾンを放出して殺菌を行っている。
 冷却室で一晩冷やされて一次包装へ。その後クリーンルームに向かう。(次号へ続く)

スモークハウス

湯煮

粗熱を取るため、チラー水でシャワーリング