新工場竣工、新調理システムを体感

 新調理システム推進協会は施設見学会を11月30日開催した。新調理システムを導入し、HACCP手法支援法の認証取得施設でもあるディナーサービス・コーポレーション(静岡県榛原郡吉田町)のセントラルキッチンを視察。同じように施設の更新を検討している食品メーカー担当者ら34名が参加した。

      渡辺会長

 新調理システムとは、「真空調理法」や「クックチル」、「ニュークックチル」などの調理法・保存法を取り入れた新しい調理法。調理を科学した数値による高度なマニュアル化と、それを活かす電化厨房機器の優れた制御性により、おいしさの均一化や作業効率の改善、マンパワーコストの低減、高い安全性の確保などに効果を発揮する。
 ディナーサービス・コーポレーションは静岡県内に3つの加工場と7つの配送センターを保有していたが、老朽化してきたため、より効率よく、安全で安心できる食品を提供できるように施設の更新を検討。2年ほど前から設計や工事に取りかかり、先月竣工した。
 同協会の渡辺彰会長は「HACCP12手順に沿った設計計画や置換換気空調システムなど最新のノウハウが詰まっている。このシステムを実際に見て、体感し、自社が更新する際には有効活用いただきたい」と参加者に呼びかけた。

     本田社長

 施設見学を前に講演したディナーサービス・コーポレーションの本田圭社長は新工場建設の経緯を「商品力を向上させ、20年、30年先でも通用し、安全・安心を提供し続けるための決断」と説明。自身が静岡県の代表を務める「盛和塾」の稲盛和夫塾長なら「工場にお金を掛けるべきではない」と諭すかもしれないが、「私は敢えて工場建設に踏み切った。伝統を大切にしつつ、チャレンジすること。それが創業者で前社長の父も認めてくれるのではないか」と語った。
 ただし、「工場は新しくなり、立派になったとしても、それを動かすのは人の力。社員一人ひとりの力の方向(ベクトル)がそろわなければ力は分散してしまい、会社全体の力とはならない。そこで来期は“ベクトルを合わせる”を目標に掲げている。スポーツや団体競技でいうならば、個人タイトルよりもチームの勝利をめざしている」と同社の経営理念を説明した。

     西常務

 同協会の事務局長で、施設のHACCP導入や認証業務、新調理システム導入の設計コンサルタント全般を務めたニチワ電機の西耕平常務は新調理システム導入のポイントと協会の役割を説明。HACCPシステム導入のための12手順7原則や飲食店の節電行動計画、電化厨房の貢献度などをグラフや表を使って紹介した。
 「新調理システムはフードビジネスを確立するために不可欠な手段。調理を科学的視点で計数管理して料理の品質管理を向上させる。以前の調理業界は感覚や経験則で扱ってきた料理の品質・サービス・食品衛生を精査し、計数をあてはめて管理することで、フードサービスのビジネス成功の3原則である“QSC”(クオリティ・サービス・クレンリネス)を向上できる。食材や水道光熱、人件費のロスをコントロールすることで、原価維持管理にも大きく貢献する」と助言した。

視察団は最新の厨房を体感した