三菱重工冷熱は冷凍冷蔵ユニットの新製品「C−puzzle80」(Cパズル80)の量産初号機をこのほど出荷した。
新製品は冷媒にCO2を使用した大型タイプ。新型機の最大の特長は圧縮機に独自の「スクロータリーコンプレッサ」を使用している点。低負荷時の効率に優れたロータリーと、高負荷時の効率に優れたスクロールを組み合わせることで高い効率を実現している。
省スペースなことも利点の一つで、冷凍能力当たりの設置面積・重量は業界最小。圧縮機を垂直に配置しているため低騒音であることも大きな特長。
同シリーズは2017年に10馬力タイプでスタートし、その後圧縮機を複数台搭載して20馬力と40馬力タイプを追加した。これらは比較的小型の冷蔵倉庫などに採用が進んでいる。
C−puzzle80は新しく開発した大型の圧縮機2台を搭載して80馬力を実現。1基で庫腹約3千tの冷凍冷蔵倉庫に対応する能力を持つだけでなく、食品の冷却凍結や製氷にも利用できる。中間冷却システムの搭載によりCOP(冷却能力)をより高めている。
今回発売したC−puzzle80(CST8001ML型)は蒸発温度が−25℃〜−45℃だが、来年には同−5℃〜−45℃とより幅広く対応するCST8001MH型を発売する予定。
独自の「スクロータリーコンプレッサ」を搭載した「C−puzzle80」
初号機はニチレイ・ロジスティクス九州が箱崎埠頭物流センター(福岡市)に3基採用した。
既存のフロン機の老朽化による更新を検討した際に、設置場所の問題でCO2/アンモニア併用型の機器を設置することが難しく困っていたところ、新型機の開発を知り導入を決めたという。
「空冷CO2機の既存メーカーは外国製圧縮機を採用しており、何十年と使用するにあたり納入後の対応に不安を感じていた」(ニチレイ・ロジスティクス九州)。
箱崎埠頭物流センターの1万9170t(公称トン数)のうち施工範囲は1万400t。
屋上にCパズル80を3基設置して倉庫(−25℃)の1〜4階を冷却する。冷凍倉庫を稼働させながら本工事(配管・配線)を11月17日開始し、11月下旬にC−puzzle80を搬入据付けし、1月初旬に試運転を開始する。
三菱重工冷熱(菊地剛彦社長)はC−puzzle80量産初号機の出荷式典を11月24日、神奈川県大和市の大和事業所で開催した。ニチレイロジグループの関係者を招いた。
菊地社長は「フロン機が世代交代となったタイミングでC−puzzleの大型化ができた」と報告し、初号機の導入に感謝した。
エンジニアリング事業本部の髭分(ひげわけ)美次取締役本部長は同社の冷凍機開発の変せんを説明するとともに、新型機について「CO2冷凍機の真打だと思っている」と自信を見せた。
ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングの井藤勉社長は「今回は初号機ということで大変光栄。感謝し期待している」と語った。
初号機出荷式典の様子