鮮度保持システム搭載コンテナを世界発売
ＴＬＣのザオ社長
鮮度保持装置メーカーのＤＥＮＢＡ��（東京都千代田区、後藤錦隆社長）は、コンテナ製造販売の世界最大手で中国国有企業のＣＩＭＣ（広東省深圳市）グループと共同開発を進めてきた新商品のコンテナをこのほど販売開始した。
ＤＥＮＢＡの鮮度保持システムを標準搭載し、長距離輸送でも高品質な低温流通が可能になる。都内で11月29日開いた記者発表会でＣＩＭＣの子会社、揚州通利冷蔵集装箱有限公司（ＴＬＣ）のザオ社長は欧州マーケットを中心に世界の年間販売目標を「１万台」とした。ＤＥＮＢＡの後藤社長は「世界初の鮮度保持技術を搭載した画期的製品」と胸を張った。
ＤＥＮＢＡの後藤社長
ＤＥＮＢＡの鮮度保持システムは独自開発の特許技術で冷蔵庫内に特殊な電場をつくり、細胞中の水の分子を微細振動させて０℃の氷点下領域でも個体化（凍結）が起こらないチルド環境をつくりだす。−４℃まで凍らない。さらに電子の微細振動が細胞に抗酸化作用や制菌作用をもたらすため、食品を新鮮な状態で長期間保存できる。単体システムとしてはすでに水産や食品加工、漁船などに多数導入実績を持つ。
一方、冷凍技術は−４℃を過ぎて凍り始めれば通常より早く凍らすことができる。細胞中の水の分子を細かく振動させたまま一気に凍らせるため、氷結晶は大きく成長しない。つまり解凍時に氷結晶が細胞膜を破壊してドリップを流出させる心配がない。このため -50℃〜-60℃の急速冷凍機がなくても、既存の-18℃〜-25℃の冷凍庫を使って高鮮度の冷凍が可能になる。
ＣＩＭＣは世界展開の先駆けとして、まずは欧州から中国への鉄道輸送用にＤＥＮＢＡ搭載の45フィートコンテナを提供したい考え。ザオ社長は「これまで欧州からの戻りは空便が多かった。このコンテナを使えば（長距離輸送でも）農産物や食肉を運ぶことができる。中国政府のサポートも期待している」と語った。
鮮度保持システム搭載のコンテナ