竹内食品機械(神奈川県茅ヶ崎市)は55年以上の歴史を持つ食品機械メーカー。ミキサー、パン粉付け機、コロッケ成型機、真空タンブラーまで、機械部材の加工から溶接・組立てまで、図面を引いた機械は研磨や塗装を除き、全て自社工場で一貫してオーダーメイド製造している。二代目の竹内仁一社長は生粋の食品機械屋さん。家業を継ぐべく武蔵工業大学機械工学科(現東京都市大学)を卒業し、3年前から父のもとで三代目修業に忙しい竹内尚道主任(30)に聞いた。
――忙しそうだ。今の主な仕事は?
竹内 何でもやっています。午前中は現場で組み立ての手伝いをしたり、出張修理に行ったり。午後5時以降は図面を描いたりしています。
――溶接とかも?
竹内 父は何でもできますが、私はまだ組み立てだけです。人数が足りない部署で、お手伝いという感じです。組み立てをしているのも、電話対応で機械の仕組みに詳しくないとできないから、という意味が大きいです。
――営業は?
竹内 ほんの一部ですね。販売は全国のディーラー経由ですし、当社に来社するお客さんもそのつながりですから、当社としてはほとんど営業の仕事がない。社長と同じで、営業は私のタイプじゃないんです(笑)。
――わかる気がする。親子ともども根っからの技術屋さんだ。
竹内 ありふれた言い方ですが、モノづくりに徹したいと思っています。
――何でも自社で作ることができるというのは楽しそう。自身で装置を考案することは?
竹内 日本製の機械を海外企業が模倣したことがあり、それを使っていたユーザー企業から「商品の品質が下がってきたので日本で作れないか?」というオファーを受けました。それは、原型があって、それにお客様の要望を取り入れて作るので、一から作ったとは言えませんが。
――初作品とは言える。
竹内 小さい機械ですけどね。それ以前も簡単なコンベアの組み立てはしていますが、装置そのものは初めて。時間がかかっていますけど(笑)。
――本当に楽しそうだ。実際、楽しいでしょ?
竹内 それは楽しいですよ。大変なこともありますが。
――例えば?
竹内 先ほどの初作品ですが、鋳物を作ってくれるところを探しまくり、ようやく長野県で見つけたのですが、そこが火災にあってしまい、型ごとダメになってしまいました。また探さなければ。
――会社の隣接地が整地されているが。
竹内 拡張予定地です。たぶん、事務所を作ることになるでしょう。