コープネット印西冷凍センター、1.5倍に耐震補強
生活協同組合連合会コープネット事業連合（本部さいたま市、会員８生協）が運営する国内最大級の冷凍専用物流センター「印西冷凍センター」（千葉県印西市）は、東日本大震災でパレット自動倉庫の荷崩れや水道管の断裂による浸水などで２週間ほど操業停止したが、５週間後に完全復旧した。建物自体は損傷が軽微だったため現状のままだが、電気・給排水などの建築設備と、自動倉庫・集品ラインなどの物流設備を耐震ＢクラスからＡクラス並に、従来の1.5倍の強度に引き上げた。仮に震度６弱の地震が起きた際は１週間以内、震度６強の場合は１〜２週間程度（目標は１週間）で操業が再開できるレベル。
自動倉庫内の床を伝うオレ
ンジ色をした給電トロリーを
カバーで覆った
震災では、納品された商品を最初に格納する地上高24ｍのパレット自動倉庫内の荷が崩れ、床面を伝う給電トロリー（ケーブル）の上に商品が落下。ケーブルを破損し、電源を失ったため、11機あるクレーンが動かせず、出入庫できなくなった。地震があった３月11日夜から、センターを運営するコープネットの子会社協栄流通��の社員をはじめ、施工業者の新日鉄エンジニアリング�蝓↓螢瀬ぅ侫�、オークラ輸送機�蠅覆匹�らの応援を含め、総動員で復旧作業に当たった。ただし、自動倉庫内で崩れた荷は手作業で直すしかなく、マイナス25℃の環境下で余震の恐怖とも戦いながら、数十分交代で出入りし、1000パレット近くあった在庫のほとんどを配置し直した。
地震で歪んだ自動補充装置の骨組みを補強（黄色の
部材）し、水平強度を高めた
復旧後はケーブルを保護するカバーを取り付け、調達が困難になったことを踏まえて予備部品を在庫し、復旧時間の短縮を図る。特に中身が軽く、落下しやすい商品にはラップで固定するようにした。
協栄流通�蠅旅�崎昭男社長（コープネット物流統括部長）は「自動倉庫のほかに、ドレン菅の断裂で水漏れした被害も大きかった」と振り返る。配送先別に仕分けた商品を入れる箱「セットボックス」を積み上げる機械の周辺も天井からの漏水で水浸しになった。
新たに取り付けた「感震器」
センターで最も人手を必要とするのが、配送先別に商品を仕分ける集品ラインだが、作業員が商品をピッキングする集品棚に自動で商品を補充する装置の支柱やベルトが各所で歪んだため、アングル材などで補強した。
地震による揺れを感知する感震器も新たに４台取り付けた。震度５（150ガル）で安全に機器類が自動停止する。
これらの復旧・耐震工事などに２億8000万円を要した。
印西冷凍センターは、ちばコープ、さいたまコープ、いばらきコープの無店舗事業（共同購入・個人宅配）向けの冷凍食品を仕分けし、各生協の宅配センターに配送している。現在の取り扱い品目数は350〜370アイテム。センター内には増築エリアも残している。