人間の頭脳と行動を軸とすれば「ゼロ」をめざすほうが賢明、かも……。
工場で砂糖、調味料等を計量する場合、秤に皿などの容器を乗せ、容器の重さを差し引いて「ゼロ」カウントにしてから副資材類を計って乗せる。
1ロットで120gの砂糖を使う場合は、少しずつ加えて「120」の目盛に達したら、計量完了、となる。
しかし何度も測っているうちに「210」になったり、前の工程で基準値だった「110」がまだ残像となっていても「オッケーイ、完成!」と見誤るミスは必ず発生する。二重、三重に検品を重ねることでミスを最小限に抑えるが、それでも、ミスは発生する。
「積み上げるより、ゼロをめざした方が間違い、少ないんじゃない?」。現場のパートさんの発想が計量を変えた。
始めに「120g」を計量したら、そこで「マイナス120」カウントに再設定。次からはひたすら「ゼロ」をめざして副資材を加えていく。「120」を作業完了ポイントとするより「ゼロ」を目標にした方がわかりやすい。計量する副資材が変わっても、毎回、常に「ゼロ」をめざすだけ。
これで検品要員を減員でき、作業が1アクション減った。昭和冷凍食品の本社工場(新潟市)の事例。それでも検品表は残し、念には念を入れている。