食品の放射能懸念、「買わない」が「買う」を上回る

 福島原発の事故の影響があると考えられる地域の食品を「買わない」とする消費者は四割で、「買う」と「気にならない」の三割を上回る消費行動の実態が、日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業のアンケート調査で分かった。
 7月上旬、全国の20歳代から70歳代の2000人を対象に、震災後の購買行動の変化を探るために実施した。食品から基準値を上回る放射性物質が相次いで検出されたことが、消費者の購買行動に影響をもたらしている。
 生鮮食品購入時に重視する項目は「産地」が30%、「鮮度」が13%と続いており、食品の安全性への警戒感が強い。また震災後は消費自粛や物流の混乱などの影響で、生鮮食品・加工食品ともに購入量を減らした消費者が多い。その一方で、麺類や冷凍食品といった保存食や、ミネラルウォーター、飲料は家庭内備蓄・被災地などへの送付需要で購入量が増えた。
 食品の購入先は、震災前と変わらない人が八割を超えており、いつもの購入先で何を買うか吟味することで食品の安全性を確保していることが推測できる。食品備蓄の必要性を認識している人は69%と高い水準。ただ、買いだめには陥らず、計画的にこまめに消費しようとする意識が強かった。