野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −18−
新工場での5S活動(4)

【目標3】元に戻す習慣付け
 現場や間接部署で必要な道具類・工具類・副原料・資材などは定置・定量・表示化し、使用後は決められた場所に戻し、次の人がすぐ使えるようにすることが大切である。
 戻されていなければ探さなくてはならない。その時間は無駄となり、探す人の時給により無駄な金額も計算できる。したがって元に戻すことを繰り返し教育し習慣化しなければならない。
 パトロールで指摘された項目の相当部分は元に戻さない道具類の放置による。ちょっと片付ければ「×」にならないのに、これはもったいない。「また使うかもしれない」、「戻すのは面倒だ」、「つい忘れてしまう」など人間の弱さの表れであり、整頓への意識浸透度を示している。家庭で子供を親がしつける時の「片付けなさい」、「ちゃんとしまいなさい」と同じである。
 共有化した書類のファイルも見たらロッカーの所定の位置に戻さないと後の利用者が困る。後工程への気配りと同じことである。
 「汚れを見つけたらすぐ清掃」も、元の清潔な状態に戻すことである。「ゴミはまたぐな」という教えも昔からある。
 壁や床などの施設、あるいは機械の故障など、応急処置が忘れられて恒久処置にならないよう正常に戻すこともムダの排除につながる。応急処置は元に戻ったわけではない。すぐ故障や品質上の不具合をもたらす。
 このように「元に戻す」は目標というよりは、人間の弱さに対する戦いの旗印のようなものである。常に掲げていなければならない。