手元に「もの」と「仕事」を搬送、生産性と作業精度向上

 西部電機はマテハンシステム「アソートブーメラン・システム」を昨年開発、今年本格的な販路拡大に乗り出す。通過型センターで主流だった「ひとが商品を運ぶ」作業概念を逆転発想。「ひとの手元に商品の仕分先容器を搬送する」ことで、ムダ・ムラをなくして生産性を向上させる。
 センター内の作業で一番多いのは歩いている時間だと言われ、歩く距離、時間を少なくすることで生産性を向上できると判断。常に手元に作業と商品を供給し、少人数でも高い生産性を実現する。多品種、多店舗でも省スペース、少人数で仕分けが可能。投げたものがひとの手元に戻ってくることから「ブーメラン」と名付けた。

ケースとピース両方の同時仕分け処理が可能
少人数で高い生産性を実現

 フローラックのデジタル表示とコンベアに付属する投入ランプにしたがってピース単位に仕分けて詰め合わせる「ピースアソートブーメラン」と、コンパクトなケースソータやEEソータを使用し、従来比の1/3のスペースでケース仕分けと出庫制御を行なう「ケースアソートブーメラン」で構成する。
 「ピースアソートブーメラン」はフローラックに入荷した商品を供給。アソート(詰め合わせ)ステーションに店別出荷コンテナを搬送し、ピッキング表示器の表示にしたがって、ピッキングと詰め合わせを行なう。満杯、詰め合わせ完了コンテナは「ケースアソートブーメラン」に搬送される。ここに送られたコンテナはケースソータで店別に自動仕分けする。ストレージが満杯になるか、仕分けが完了すると、自動的に出庫。出荷コンベアに店別に出庫されたケースを、出荷用台車に積み付ける。

EEソータ

日配品センターに強みを発揮

出荷コンベア

 それ以前から各現場で活かされていた機器や技術を体系的にシステム化し、昨年商品化した。第1号は仕分け先500店舗、取り扱い品種は1000アイテムを数える加工食品と日配品用センターに導入された。全て統一コンテナで詰め合わせと仕分けをしており、全数ピース仕分け。積層トラック、自動倉庫など立体ストレージを活用しているという。作業員は35人に抑えることができた。
 その後、東北地方の水産加工会社が採用。スーパー85店舗と一般店114店舗に600アイテム運ぶ現場で活躍している。
 「人が商品を運ぶのではなく、人のもとに商品が運ばれてくる逆の視点がポイント。商品、つまり“仕事”で従来は無駄な動きがとにかく多かった。人的資源は限られており、少ない人員で生産性を上げるには、既存のシステムの疑問から始まる」(同社)としており、販路の拡大に手応えを感じている。