FDA方式のHACCP認定取得に向けた活動は2011年4月から1年間、年末の繁忙期も乗り越え、安全な製品をつくるために具体的な目標に向かい、会長、社長が先頭に立って推進した。研修最終日に検査機関の審査を受けたが、関係者の努力が実り、見事にHACCP認定取得することができた。
佃煮業界では日本で2番目のFDA方式のHACCP認定工場となった。
ローラー掛けの徹底など食品衛生の環境を整備した
これまでの取り組みをまとめると次のようになる。
(1)全社の組織改革
社長直属の品質管理部門を設立、担当役員を任命、品質担当者2名を採用して教育訓練を実施、早期戦力化を推進した。新卒2名は現在、中心的な活動をしている。
(2)教育・講習会の充実
会長、社長を始め経営者のHACCP教育のため、外部講習会にも参加を求め、理解を深めてもらった。毎月の研修では社長、担当役員を含むプロジェトチーム全員で毎回現場の実践教育を実施。一方、全社従業員を対象に「手洗いの大切さ」、「安全でおいしい品質の大切さ」の講習会を実施し、全社員に理解を深めた。
(3)食品衛生の環境整備と一般衛生管理の実践
現場で発見した問題箇所の写真をもとに改善を重ね、実行されるまで続けた。入室手順、手洗い、ローラー掛けなど。
その結果、細菌検査室の検査精度が上がり、工場独自で検査結果が毎日判明するようになり、製品の安全性の確認や工程汚染の改善につながり、改善活動は短期間で飛躍的な貢献を果たした。
(4)品質管理のレベルアップ
従来の伝統的な江戸の味は会長の長年の経験と“勘”で守られてきた。
しかし今回、科学的な技術に裏付けられた管理方式を導入。重要管理点として加熱調理する真空加熱釜の温度・時間・ブリックスの測定結果を日報に記録する方式に改善し、品質の向上と安定化を図った。最終的に水分活性を導入し、新しい科学的な安全性の裏付けを確立した。
(5)クリーンゾーンの2次汚染防止
加熱調理後に常温で手作業による異物除去・冷却工程があったため、作業員からの2次汚染のリスクが大きかった。作業台、移動台車、作業員の服装、手洗いの管理に苦労した。
そこでクリーンゾーンを維持するため、人・物の入室や包装資材、特に段ボールの取り扱いに留意するよう指導した。
新しい科学的な安全性の裏付けを確立した