冷凍パンの焼成にスチコン提案
ハード系のパンもしっかり焼き上げる
業務用調理機器を輸入・製造販売するエフ・エム・アイ（東京都港区）は冷凍パンの調理用にＵＮＯＸ（ウノックス、伊）のスチームコンベクションオーブンを提案している。ホテルやカフェ、ゴルフ場などでは人手不足を背景に冷凍パンの導入が広がるとともに、焼成時間が速いスチコンを使うケースが増えている。コロナ禍でテイクアウト需要が高まり、街のリテールベーカリーでもスチコンを導入する動きが出始めているという。
一般的にパンは「スクラッチ」と呼ばれる粉から生地を練り上げて成形し、発酵させて焼き上げる。この方法では客に提供するまでに最短３時間、作る量が多ければ８時間かかる場合もある。
冷凍パンは�‐得�後に冷凍したものから��発酵前、�Ｈ�酵後に冷凍、�と松得�後に冷凍したものまである。焼成後の冷凍パンをスチコンでリベイクすれば大幅な時間節約が可能になり、人件費の削減効果が見込める。
スチコンは平釜オーブンに比べて熱効率が高く、温度ムラの心配もない。営業本部の藤原嗣浩ＵＮＯＸチームマネージャーによれば「パンの種類にもよるが、焼成時間は１〜３割短縮できるものがある」という。天候や気温に左右されず、常に品質の安定した商品を提供できる。
藤原マネージャーは「注文に合わせてすぐに準備できるためチャンスロスをなくし、同時に廃棄ロスを減らせるなどメリットが多い。冷凍パンの市場は今後も伸びるだろう」と語る。
ＵＮＯＸのスチコンと藤原マネージャー
無風運転機能を搭載
ＵＮＯＸ社製のスチコンはパルスファン（無風運転）機能を搭載する。スチコンは熱風を強制循環してパンを四方から取り囲むようにして焼成するが、パルスファン機能は設定温度に達するとファンを止め、蓄熱で焼成する。温度が下がると再びファンを回して庫内温度を上げる。これを繰り返すことで、熱風による生地のゆがみや流れるのを抑えることができる。これまで難しいとされたシューやジェノワーズ生地をきれいに焼き上げる。
さらにフランスパンやバケットなどハード系のパン生地を膨らませるのに欠かせない「クープ（割れ目）」の起き上がりも蓄熱で促すことができる。藤原マネージャーは「庫内を完全無風にできるのはＵＮＯＸ社製だけ。従来型のスチコンでは無理だったハード系のパンを焼けるメリットは大きい」と胸を張る。
電気代を大幅カット
スチコンは平釜オーブンに比べて初期投資が低いうえ、エネルギーの消費量も抑えられる。平釜の多くは予熱に30分〜１時間を要するが、スチコンは約５分と立ち上がりが早く、一度焼き上げた後はオフにし、必要に応じて再稼働できる。平釜は営業中は火を落とすことができない。ある店舗では平釜とスチコンの併用からスチコン２台に切り替えたところ、「毎月の電気代が20万円から８万円に下がった」（藤原マネージャー）という。
ＵＮＯＸはスチコンを昨年夏モデルチェンジし、庫内の温湿度や昇温時間を自動補正するなどのスマート機能を複数搭載した。ＦＭＩは製菓製パン専用「ベーカートップ」のほか、様々な食材の調理に対応した「シェフトップ」シリーズをラインアップ。食品工場やプロセスセンター向けに大型ラックトローリータイプも揃える。