現場のムダ削減、モバイルアプリが有効
コンビニベンダー140工場が採用
カミナシ（東京都千代田区、諸岡裕人ＣＥＯ）は「FOOMA JAPAN2023」で現場ＤＸプラットフォーム「カミナシ」のユーザビリティ（使い勝手）の高さをデモンストレーションや導入事例の展示を通じてＰＲしている。
「カミナシ」はモバイルアプリを活用して“現場のムダ”を削減するサービス。現場で働く「ノンデスクワーカー」の負荷を軽減することで作業性向上に貢献する。手書き情報のデータ化やメール報告など非効率な事務作業を自動化するほか、作業手順の教育にも活用可能。カスタマイズ性も高く、既存のパーツを組み合わせることで独自の管理アプリを構築できる。
マーケティング担当の金宰範氏は「サービス名称から『紙資源の削減』というイメージが強いかもしれないが本質は品質管理や衛生管理といった業務効率化にある」と強調する。
FOOMAの展示ブース、来場者の関心は高い
今年はシリーズＢラウンドにおける約30億円の資金調達を実施。中長期のプロダクト戦略として「まるごと現場ＤＸ構想」を推進する方針を４月に公表した。既存の「業務（Operation）」分野に加え、「人（Employee）」「コミュニケーション（Communication）」の新領域に関連するプロダクトを新たに開発することで、より多くの業務が効率化されるオールインワンサービスをめざす。
短期の時給労働者などフロー型人材の入退社手続きや管理、戦力化までをカバーする「人」領域の新プロダクトを年内にリリースする予定。
既存サービスの改良にも余念はなく、直近では帳票の表形式機能や四則演算機能を追加したほか、マニュアルなどに取り込む画像の画質を向上。ユーザビリティを追求し続けている。
老舗小魚水産加工業の品質管理に貢献
導入実績も増え続けている。今年３月にはセブン‐イレブン・ジャパン（東京都千代田区、永松文彦代表）の弁当・惣菜を製造するメーカー各社の139工場でカミナシが導入されたことを公表した。全工場（176工場）の８割を占めており、現在も増加傾向にある。
水産加工業における導入事例、引き合いも伸長傾向にあり、2022年６月には老舗小魚水産加工業者であるヤマイチ（茨城県ひたちなか市、川��孝則代表）が２カ所の加工現場と品質管理部門でカミナシを導入。記録のダブルチェックで生じていた約10時間（月当たり）の作業削減や、製造手順のマニュアル化による教育体制強化を実現した。今後はＨＡＣＣＰ対象業務においてもカミナシの導入を進めていく方針だ。
業務改善の主役である現場労働者の評価も高い。ヤマイチ品質管理部品質管理課の陳九如氏は「カミナシだと不備や漏れがあれば入力時にわかるので、こちら側で遵守検証・指摘する手間がなくなる。現場に書類を戻すストレスもなくなった」とコメントする。
水産加工業でも導入が進む（ヤマイチ）