新設拠点に太陽光発電システムを取り付ける
横浜冷凍�蝓‖緝充萃�役社長 吉川俊雄氏
横浜冷凍は太陽光発電システムを複数の自社冷蔵庫で採用するなど環境対応で業界をリードしている。今後も新設拠点に太陽光発電システムを取り付けるという。また、冷媒も新設拠点の場合、アンモニアとしている。課題は既存拠点の冷媒。築10〜15年経過した拠点の冷媒を代替フロンとするかアンモニアとするかを課題とする。拠点改修の内容、新設の予定なども吉川俊雄社長に聞いた。
吉川社長
――冷凍機の冷媒はアンモニアに入れ替える方向か。
吉川 社会的に見れば一気にフロンを廃止するのもいいだろうが、莫大な金がかかる。新設拠点の冷媒は全てアンモニアとしている。その結果、当社の拠点でアンモニア冷媒を採用している比率は３分の１。大阪、神戸、福岡といった古い拠点は冷媒をアンモニアに入れ替える延命策をとらないが、築10〜15年経過したところを今後どうするかが課題。施策はいろいろしているが、何かの時に入れ替えを手掛ける必要がある。代替フロンで済むならば、それを選択肢に入れる。基本的にはアンモニアとする姿勢だが、代替フロンとする可能もある。とはいえ、代替フロンでもそこそこの金がかかる。
――全面的にアンモニアに入れ替えるとなると、投資額はどのくらいかかるのか。
吉川 約１万ｔの蔵をアンモニアの冷凍機に全部入れ替えると１億5000万円。２万ｔの場合、２億円以上かかる。それを償却するとなると耐用年数が15年以上ある冷蔵庫でなければ、手掛けても無駄。フロン規制があったとしても、あれは製造業が中心の規制。古い冷蔵庫はぎりぎりまで持たせていいのではないか。また、当社の冷却方式は天井ヘアピンコイルを使用したもの。この場合は冷媒量が多い。ヘアピンコイルのままでアンモニア冷媒を採用するか、それともヘアピンコイルをつぶしてクーラー式に直すことにするのか。そうなると当社の（荷にやさしい冷却方式を採用するという）スタンスが崩れるので、ここは慎重に構えたい。研究はしている。
――大黒物流センター（横浜）の全面改修を手掛けている。
吉川 荷役機器を入れ替え、荷捌き室をリニューアルし、さらに事務所の配線を整える。６月末に完成する。大黒物流センターの荷役機器はエレベーターしかなかった。エレベーター６台で、荷役作業を手掛けていた。エレベーターの場合は荷役効率が悪いうえ、受け手が上階に必ずいる必要があり人員的にも何人か余計にかかる。そこで、エレベーターも上げ下げに必要であり２台だけ残すが、残りの全てを垂直搬送機に入れ替えた。
――太陽光発電システムを５拠点で採用している。メーカーによって発電効率の差は。
吉川 京セラコーポレーション製が１拠点、三洋電機製が４拠点の計５拠点だが、京セラ製のはまだ取り付けて数カ月であり、どちらのメーカーのものが発電効率で優れているかまだ分からない。各メーカーとも「自社が一番優れている」と言うが、メーカー１社で良し悪しが分からないので、２社を現在採用している。
――新たに太陽光発電システムを取り付ける予定は。
吉川 新設冷蔵庫には取り付ける考えだが、具体的な新設拠点の予定がない。古い拠点に取り付けるとなると、屋上にかかる重量の問題がある。既存拠点に取り付けるには、太陽光パネルが軽量でないと難しい。塀みたいに床に置くのはどうか、という意見もあるが、日射角の問題で発電効率が悪くなるというメーカーの指摘がある。
――新設拠点の予定は。
吉川 予定はないが、大阪市に土地を購入した。大阪物流センターが昭和40年代後半竣工で、いろいろとガタがきている。昔ながらの低床式で、原料の場合でも荷主が入庫をいやがる。荷主のニーズにいよいよ合わなくなってきた場合、そのときに慌てても土地は簡単には見つからない。値段的にも良い土地があり購入した。機会があればいつでもスクラップ＆ビルドができる状態となった。太陽光発電システムを取り付けるとすれば、ここに拠点新設した場合となるだろう。
（よしかわ・としお）1968年（昭和43年）入社。常務冷蔵本部長を経て、2003年11月から現職。東京都出身。国学院大経済学部卒。1944年（昭和19年）11月生まれ、64歳。