阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −35−
工場運営のポイント ―コスト低減活動― 

 日本経済は益々グローバル化が進み、一方で中国・東南アジアの経済は急速に発展している。日本の製造業は厳しい価額競争に直面しており、食品業界も例外ではない。
 企業が生き残るためにはコストダウンが重要な課題であり、1度取り組めば終わるものではない。企業が存続するには永遠に続く本質的な競争である。
 トップの強力なリーダーシップのもとに、全社的にコストの意識改革を進め、全部門が隠れたムダを丹念に潰すことがコスト低減に繋がり、結果として企業競争力が向上し、強いメーカーに変身する。
 製造コストを低減する際、最も大きな比重を占めるのは原材料費の低減である。したがって、原材料・資材調達部門は企業の戦略部門として優秀な人材の投入と育成が重要である。
 生産現場において有効なコストダウンは「儲かるIE(インダストリアル・エンジニアリング)」の活用である。
 これは良い製品を正しく、安く、楽に生産する科学的な手段・手法で、ムリ・ムダ・ムラを見出し、改善する実践的な技術である。
 身近な方法として、工程分析(物の動きを調べムダを取り除く)、動作分析(人の動きを調べムダを取り除く)がある。これはトヨタのカンバン方式の原点でもある。