科学技術館では、リバネス、NECライティング、日本ディスプレイセンターの3社が光源の比較検討や植物育成の効果を検討する長期試験を実施している。5月下旬からリーフレタスを対象とした試験を開始、今後3期に分けて複数の品種で試験を行なう。
リバネスのプロデュースのもと、NECライティングはCCFL管(冷陰極管)を、日本ディスプレイセンターはLEDを使い、植物育成のデータ収集を行なっている。
CCFL管は発熱が低い
CCFL管はテレビのバックライトなどに使用されている光源で、発熱量が少ないこと、光源寿命が長いことから、植物工場の光源として有力視されている。今回は植物工場への設置をターゲットとして、新たなCCFL管を独自開発した。
蛍光灯の表面温度が約45℃であるのに対し、CCFL管は35℃前後と発熱が低いため、葉物野菜にランプが近接しても影響を抑制できる。
また、植物の育成棚を多段化することもできる。CCFL管は管内にインバータを内蔵しているため、蛍光灯のようにインバータを収納するための器具スペースが必要なく、高さ方向の省スペース化が可能となる。
LEDは消費電力が少ない
一方、LEDは単波長の光を照射できる点光源で、消費電力も少ないため効率よく植物を育てられる光源として有力視されている。植物工場のラック設計や施工を行なう日本ディスプレイセンターはLEDに着目し、複数の波長を持つLEDチップを組み合わせた光源で試験を行なっている。
配色による生育状態を確認し、照度による成長効果を調べるため、プラントの最上段には三波長のLED、中断にはパネル型LED(三波長)、最下段には赤色を中心に配色したLEDを設置してテストしているが、「設置条件の違いはあるものの、パネル型の育ちが一番よい」(同社)ことを確認しているという。
しかし、「パネル型LEDの消費電力はまだ大きいため、それを抑えなければならないという課題があった。LEDメーカーと話し合い、消費電力を抑えても生育効果があまり変わらないものを開発していく」としている。
CCFL管、LEDのどちらの方が優れているというわけではない。もしかしたら、これらに代わる光源がこの先開発されるかもしれない。「どの光源にせよ、植物工場を稼働させるには空調の設置が必要。この調節やランニングコストも考慮しなければならない。できるだけ多くのデータを収集し、実用化に向けた研究が急がれている」(リバネス)としている。