キユーピー介護食記者説明会で講演
手嶋教授「ＱＯＬ高める食介護を」
キユーピーはユニバーサルデザインフード（ＵＤＦ）「やさしい献立」シリーズ新商品６品の発売と全45品のリニューアル、「ジャネフ なめらかプラス」、「ジャネフ ワンステップミール」の発売に当たり、記者説明会をこのほど開催した。その中で、「食介護論」を創設し介護食研究の第一人者として活躍する手嶋登志子浜松大学教授（健康プロデュース学部）が「介護現場の抱える課題と食介護論」と題して講演し、口から食べることの大切さについて語った。
手嶋氏は“食介護”について「口からおいしく食べられるよう、食を通じて全人的な介護を行うこと。栄養状態の維持だけでなく、ＱＯＬ（クオリティオブライフ＝生命の質）を高めることを目標としている」と説明。食事の楽しみや生きがい、人との触れ合い、生活不活性病や障害の重度化、合併症の予防、さらにはＱＯＬの維持・向上、人間性の復権といった観点から、口から食べることの意義を強調した。
ＱＯＬを高める食介護・支援には「食環境」（食事する部屋の様子や食事相手、介護者）、「食べる人の心身状態」（健康・栄養状態、感覚・精神機能の状態、摂食・口腔機能の状態）、「食物」（安全・栄養面、嗜好面・食形態）の３要素が重要とした。
機能、見た目、味、栄養、愛情が大切
介護食の条件としては�仝�腔から咽頭部を滑らかに通り、むせずに粘つかずに嚥下できるのど越しの良い食事、��見た目にもきれいで食欲が湧き、おいしいもの、�８輦襪靴覆た�べ物、�ぅ┘優襯�ー・栄養素・水分が必要量とれる、�グ�情と敬意のこもった介助――を挙げた。
また、同氏がまとめた「飲み込みにくい食物」ランキングによると、施設入居高齢者の１位は酢の物。次いで焼きイモ、ゆで卵（黄身）、雑煮のもちがランクインした。在宅独居高齢者の１位は焼きイモで、ゆで卵（黄身）、酢の物、ウエハースが続いた。
手嶋氏は今後の課題として「水分を誤嚥する人に口腔ケアすることの危険性」、「低栄養問題だけでなくメタボの問題」を指摘したほか、「医師や管理栄養士、調理師、ケアマネージャー、介護福祉士、歯科医師などが協働して食介護支援チームを組む必要がある」とし、他職種による連携の重要性を訴えた。
