武蔵エンジ、液体ディスペンサーの実力示す

 半導体や液晶、通信、電子機器などあらゆる工業製品に使用される「液体精密ディスペンサー」で国内シェアトップの武蔵エンジニアリング(東京都三鷹市、生島和正社長)は、食品業界に10年前から提案領域を広げ、FOOMAにも連続出展している。
 今回はチョコやシロップ、可食インクなど高粘性の食材をディスペンサーから専用シートに飛ばして、立体的な3Dデコレーションが作れる「食品用JETデコレーションシステム」をはじめ、チョコオーナメント(飾り)専用ディスペンサーなどを出品する。
 いずれも菓子や皿にオリジナルの絵柄・模様を高精細に自動で描画できるため、生産性向上だけでなく、標準化、差別化にもつながるとして高い評価を得ている。人気のアミューズメント施設や結婚式場、菓子メーカーなどに導入先を広げている。
 対象物に液体を高速で飛ばすジェット式のディスペンサーは素材を1mm以下の超微小径の点(粒)にして吐出する。この精密に定量吐出したり、高精細に線引き塗布したりする制御技術のレベルは、半導体分野で8割以上のシェアを獲得していることで実証済み。
 低粘度から高粘度まで対応でき、食品素材はチョコレートのほかに魚のすり身やデンプン素材、こしあんなども取り扱える。凸凹のある菓子や段差のある皿、複雑なデザイン、細かい文字でもきれいに正確に描ける。液体を吐出するヘッド部を2機搭載すれば2色で描画することができる。
 「当社は用途に合わせたアプリケーションを提案できるのが強み」(百瀬敏宏執行役員営業副本部長)として、新製品の「べっ甲飴造形システム」も出品する。飴細工の職人と同等レベルのオーナメントを誰でも自在に作ることができる。下描きデータを入力する専用の編集ソフトはすでに提供しているが、今回は写真データや絵のスキャンデータをビットマップデータに変換して、そのまま描画できる新ソフトをPRする。

    チョコオーナメント専用ディスペンサーはチョコを高速で飛ばして描画。
    複雑なデザインの蝶も描ける

飲料大手のボトリングラインにも採用

 ジェット式ディスペンサーは菓子業界以外では飲料大手のボトリングラインにも採用されている。香料や着色料などの食品添加物を毎秒100ショット以上で吐出できるため、高速充てんのラインで採用が決まった。百瀬執行役員によれば「もともとは製パン製菓の技術展に出展したのがきっかけ。そこで飲料メーカーが当社製品を見て関心を持ってくれた」という。
 FOOMAでは飲料業界の導入事例をパネル展示を使って説明する。飲料業界へのさらなる参入をねらう。