「石垣島ほんだし」を設立、与那国島でカツオだし事業を展開へ

 石垣の塩は「石垣島ほんだし」を設立した。与那国島にある旧鰹節工場の建物を3月末までに改修、原料処理からボイル、乾燥、冷凍保管など一次加工場の設備を整備した。09年度の水産庁ビジネス・プラン事業(補正予算)に与那国島のカツオだし事業が採用されたことによる。
 東郷清流社長は「ミネラル天然は石垣の塩として全国に知られており、この販路を活用して、与那国島でのカツオだしを積極的に販売する。また、10年度はカツオたたき製品の製造を計画、地元・石垣市のホテル・レストラン向けに販売したい」としている。
 与那国島は日本の最も南西にあり、台湾とはわずか100kmという国境の島。漁業が大きな糧となっているが、その漁獲対象物はカジキマグロ。カツオも多く獲れるが、漁業者はカツオには関心がない。以前は漁港近くにカツオ節工場があったが、今は建物だけが残っている。この建物を利用してカツオだしを製造し、すでにブランド化している石垣の塩の販売ルートを活用して、ご当地商品のアイテムを増やし、地域と漁業の活性化を図る計画。

旧鰹節工場を再活用してダシ工場に

与那国島漁協が大きな期待に

 3月までに製造設備を終え、生産を開始する予定で漁業者から鮮魚のカツオをkg200円で買取り、年間300tでカツオ原料からカツオだし80tを生産する計画を立てている。このうち、カツオだし製造は、与那国島に1次加工場、石垣市に製品化の2次工場を設立する。
 ビジネス・プラン事業では、与那国島に1次加工場の原料処理設備を中心に補助がなされる。1次加工場ではカツオの端材である頭や内臓などから煮汁を作り、これを2次加工場で抽出エキスにする。また、1次加工場では乾燥のカツオの身を作り、2次加工場で酵母を発酵させて、カツオだしとする計画している。

導入したフィッシュカッター

 東郷社長は与那国島のカツオだし事業にあたり、石垣市の食品関連企業のオーナーから出資を募り「石垣島ほんだし」を2月中旬に1390万円で設立している。この中では地元の蒲鉾メーカー「マミヤ八重山かまぼこ」の金城力社長(沖縄県蒲鉾組合副会長)や食品問屋の砂川忠雄氏ら有力地元メンバーが名前を連ねている。
 与那国島の1次加工場には3300万円(うち、補助金は1300万円)が投じられている。
 今後、石垣市の2次加工場の整備も並行して行われ、5月末ごろから本格的な生産に取り組む計画となっている。
 与那国島漁協は「未利用資源のカツオの有効活用による漁業者収入の増加と地元雇用の創出など、カツオだし事業を大いに期待している」とした。

乾燥機