食品仕様の人協働ロボット、簡単移設で人手不足解消に貢献
食品業界向けページを開設、自動化を提案
食品仕様の人協働ロボット
「ＭＯＴＯＭＡＮ-ＨＣ10ＤＴＦ」
産業用ロボットメーカー大手の安川電機（福岡県北九州市、小笠原浩社長）は食品工場向けに人協働ロボットを使った自動化ソリューションの提案を強化している。自社の製品・技術情報サイトに食品業界向けの特設ページをこのほど開設し、実演動画を公開した。
食品製造現場では、「人手不足」と「生産性の向上」が大きな課題となっている。そのためロボットによる自動化が期待されるが、食品製造現場は、人手に頼らざるを得ない工程が多く、全てを自動化することは困難であり、衛生面への配慮も必要となる。安川電機の「ＭＯＴＯＭＡＮ-ＨＣ10ＤＴＦ」はこうした課題をクリアし、食品製造ラインへの導入を可能としたロボットだ。
「ＭＯＴＯＭＡＮ-ＨＣ10ＤＴＦ」は安全柵を設置する必要がなく、人と同じスペースを共有しながら一緒に作業ができるよう設計されている。
人とロボットが協働で作業することで生産性を向上することが可能。また、外部から加わった力があらかじめ設定した制限値を超えると自動で停止する「人協働モード」のほか、アームとアームの間にすき間を確保する「挟み込み防止」の形状を採用し安全面に配慮している。ただし、導入に際してはリスクアセスメントを実施する必要がある。
簡単に移設可能で頻繁なライン変更に対応
「ＭＯＴＯＭＡＮ-ＨＣ10ＤＴＦ」は手押し台車と組み合わせたシステムを準備している。簡単に移動でき、ブロックとピンで容易な位置決めが可能。台車のハンドルを回すだけで設置できる。近年は食の多様化に伴って変種変量に対応する食品工場が多いが、ロボットの簡単な移動・移設で頻繁に起きる段取り変えにも柔軟に対応できる。
手押し台車でロボットを簡単に移動・移載でき、生産ラインの切替えにも対応できる
塗装剥がれによる異物混入リスクを低減
サニタリー性も向上
「ＭＯＴＯＭＡＮ-ＨＣ10ＤＴＦ」は表面に特殊なメッキ加工を施すことで塗装剥がれによる異物混入リスクを排除している。洗浄耐性も高めており、酸性やアルカリ性の洗浄剤だけでなく、アルコールを使ったふき掃除を可能にした。隅々までふき掃除しやすい構造にし、ほこり溜まりも防ぐ。
潤滑油には生産ラインに万が一混入しても人体に極力影響を与えないＮＳＦ（国際衛生科学財団）認証規格（Ｈ１）の食品グリースを採用。さらに、防じん・防滴保護等級の国際標準ＩＥＣ（国際電気標準会議）規格のＩＰ67をロボットの全軸で実現した。ロボットの先端フランジの材質には防錆効果の高いステンレスを使っている。
同社は「人協働ロボットは、安全柵なしで設置でき、移設も簡単。今まで導入を見送っていた現場や、ロボットの設置が困難とされていた工程でも、ロボットによる自動化の可能性が広がり、食品現場の人手不足解消に寄与する」とみている。
自社サイトに開設した食品業界向けページでは食品仕様ロボットのデモ動画を公開している
先端にコネクタ配置、使いやすさを向上
導入後の使いやすさも大きなポイント。先端部にはコネクタを配置した。食品盛付け用のハンドやピッキング用の吸着パッド、液体充填用ノズルなど様々なツールを直接取り付けることができ、セットアップする時間の短縮に貢献する。
操作方法はプログラミングペンダントを使った従来のティーチング方法に加えて、ロボットアームを手で直接つかんで自由に操作し、任意の動作を教える「ダイレクトティーチング機能」を備えた。直感的な操作が可能になるため、ロボット操作に不慣れな人でも簡単に操作できる。
安川電機は食品業界を新領域と位置づけ、長年培ってきたロボティクスの技術を集中して自動化ソリューションの実用化を加速させる考え。今回開設した食品業界向けページも順次コンテンツを充実させて、ロボットの用途開発と潜在需要の掘り起こしを図る。
「ＭＯＴＯＭＡＮ-ＨＣ10ＤＴＦ」は可搬重量10�圈∈蚤腑蝓璽�1200�弌�オープン価格。