野田工場「御用醤油醸造所(御用蔵)」が完成

 キッコーマン食品の野田工場内に移築工事していた「御用醤油醸造所(御用蔵)」がこのほど完成した。宮内庁に納める醬油醸造のほか、伝統的な醸造技術と旧「御用蔵」建設当時の製造設備の保存、継承という役割を担う。

御用醤油醸造所

 新たに見学コースを設置し、実際に木の桶の中でもろみが熟成する様子や、当時使用していた原料処理、圧搾、火入れなどの設備を見ることができる。敷地内にある工場見学施設「もの知りしょうゆ館」とともに、醬油に親しみ、醬油造りを伝える施設として活用する。見学は完全予約制で4月1日から開始する。
 移築には、醬油を仕込む木桶、屋根の小屋組み、屋根瓦、石垣、門などは旧「御用蔵」のものを使用。また、外観も旧「御用蔵」同様、城郭様式を再現した。建物の周辺には堀をイメージした水盤をめぐらせている。
 移築に伴い休売していた「御用蔵醤油」は、すでに仕込みを開始しており、2012年1月から販売を再開する。

 御用蔵は1939年に当時の宮内省に納める醬油を醸造するための専用醸造所として江戸川沿いの敷地に建設していた。70年に渡って醬油を醸造してきたが、老朽化に伴い大規模な補修工事が必要となったため、移築工事を進めていた。