従業員からの提案を改善活動に活かす
眉毛もチェック、危険予知をトレーニング
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昭和冷凍食品は昭和産業グループが持つ小麦粉、食物油脂、でん粉、糖類などの食品素材と長年培った加工技術を活かし、たこ焼、ワンタン、ケーキなどの冷凍加工食品を製造、販売している。安全・安心で高品質な製品を提供するという方針に沿い、ＦＳＳＣ22000とＩＳＯ22000を認証取得し、開発から製造、販売まで一貫して取り組んでいる。
本社・工場社屋
本社工場は新潟駅南口を出て、車で新潟バイパスから、北陸自動車道・上越新幹線と並行する国道８号線を南下して、約20分。国道沿いにある。白い２階建ての建物の正面に朱色で「昭和冷凍食品」の社名看板が映える。
食パン、調理パン、カレーパンなどの冷凍パン生地ライン（第一製造課）とラビオリ、たこ焼、プチケーキなどの冷凍食品ライン（第二製造課）の２つが同じ建物の中に配置されている。
取り扱い比率は冷凍パン１に対し冷凍食品が２とほぼ倍。同社全商品の75％をこの新潟本社工場で生産し、残りの今川焼、焼成パン、蒸しケーキ、ドーナツ、チキン加工品など25％は協力工場でＯＥＭ生産している。
金子部長
工場に入る前に手洗い、粘着テープ、エアシャワーなどの衛生管理は当然だが、眼鏡使用者はねじの緩みまでチェックする。「（生産性改善の）ＴＰＳ活動に取り組んで６年。外部専門家の指導から社内独自取り組みに切り替えているが、衛生、安全管理の見える化が現場に浸透しており、本格的な取り組みになっている」と金子康晴製造部長。
通路には「改善ボード」を設置し、改善すべき提案とその結果、担当者からのコメントを掲示している。「何か気になれば、パートさんも提案して改善に結びつけている」（金子部長）。パン生地ラインで油脂の噴霧量削減の提案があり、取り組んだ結果、油脂の使用量が減少したという事例や、ＯＥＭ受託生産するキャラクター商品の顔をよりくっきり出したいという提案が採用されたケースなど多数の事例を示している。
改善以前と改善後の画像も出し、担当者からの「お礼と感想」コメントも記している。
通路の角々には凸面機能を持つプラスチック製の鏡を多数張り付けてあり、接触事故を防いでいる。
静脈認証は３年前から導入。白衣、帽子に粘着テープをかけた後、小さな粘着テープ。これで落下しそうな眉毛を除去する。女性が多い職場だけに、粘着度は緩めにしてあるが、眉毛に粘着テープを当てる工場は、日本ではまだ珍しい。（中国では別の方法で眉毛対策をしている工場が既にある）
原料の計量、配合。以前は仕掛け品の上部にビニールをかけて保管していたが「ビニール片を破いたり紛失するリスクを回避するため」（金子部長）特製のフタでカバーする仕組みに変えた。フタの四隅がきちんと覆われているので、むしろ衛生的で安全確保の確実性が増した。
ＦＳＳＣ認証の取得作業を通じて「危険予知トレーニング」（ＫＹＴ）を取得した。毎月テーマを定めており「落ちない」などわかりやすいキーワードで社内徹底を図る。
ライン改造で製品をフリーザーに直接投入
たこの原料処理
ラビオリの具材（肉）処理。冷凍肉原料をサイレントカッターでフレーク状にカットし、調味料などを加えてミキシングする。野菜は一次カットした状態で搬入し、検品してから具材と混ぜる。
たこ焼用の原料たこ。ここでも洗浄作業が重点となるが「レイアウトを変更することにより、４人の作業が３人でできるようになった」（金子部長）。最後に原料たこを金検チェック。
ここまでで処理が終わった原料肉、野菜、たこ類は冷蔵庫の手前から庫内に入れて保管。加工工程で使う時は冷蔵庫の反対側の扉を開けて取り出す。これで双方の交差汚染を防ぐ。
ラビオリの加工工程
ラビオリ・ワンタンライン。同社の主力商品を手掛けている。生地をラインに乗せて麺帯をつくり、何度も延ばして薄い帯にする。これを打ち抜き、成型機で具材を詰めて皮を絞る。成型機は本場イタリア産。できたラビオリ・ワンタンを茹でてからフリーザーで凍結する。以前はフリーザーに投入前に製品を人手で整列させていたが、いまでは加熱工程からフリーザーまで自動で流れるように改善した。
丸たこ焼。生地を型枠に流し込み、中具のたこを手作業で真ん中に１個ずつ入れていく。生地の半分に加熱処理し、途中で反転して下半分を加熱する。この間、たこ焼型枠がラインを次々流れていく。
焼き上がったたこ焼は冷却した後、フリーザーに流れる。空いた型枠にはすぐさま油を塗って次の生地が流し込まれる。
たこ焼ラインの隣にホットケーキラインを併設しているが、たこ焼ラインで生産するプチケーキとホットケーキはフリーザーを共用しているため、「たこ焼の需要が年々着実に伸びており、ホットケーキに余力を回せなくなってきた」（佐藤誠社長）。そこで釣鐘たこ焼の大半は外部の協力工場に生産委託している。
丸たこ焼工程
包装工程。ラビオリ・ワンタンはコンピュータスケールで計測し、タテピロー袋に入れて金属検知器を通る。釣鐘型たこ焼はここで再検品してから金検、Ｘ線等を通してピロー包装する。「焼け焦げなどの“異物”やゆがみなどの不良品をここでチェックし、その原因を調べて対応しているので、不良品の発生は非常に少なくなっている」（金子部長）。これも生産性改善活動（ＴＰＳ）の成果。「従来と同じ作業であっても、何か改善点はないかと従業員の目が明らかに変わってきた」という。