搬送ロボが丸の内を走る、単独で飲料を販売

 パナソニックホールディングスは自動搬送ロボットが東京丸の内のビジネス街を巡回しながら飲料などを販売する実証実験を1日開始した。ロボットを見守る保安要員が随行せず、遠隔監視・操作型(フルリモート)のロボット単独による無人販売を公道で実施するのは国内初という。来年2月4日まで行う。

 実証実験は大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティ推進コンソーシアムが採択を受けた2022年度「スマートシティモデルプロジェクト」(国土交通省)の一環。パナソニックは搬送ロボット「ハコボ」や遠隔管制システムの運用を担う。

 「ハコボ」は丸の内エアリアの指定ルートを巡回しながら、特定地点で飲料やカプセルトイなどを販売する。機能面では国際規格に適合した安全性を備えるほか、用途に応じて荷台を入れ替えることができる柔軟性を持つ。

           丸の内仲通りを走る搬送ロボット「ハコボ」

 これまでに神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」で店舗から住宅への配送サービスの実証を行ったほか、茨城県つくば市では楽天グループや西友と共同で日用品の配送テストを行ってきた。

 藤沢市では完全遠隔監視・操作による複数台の同時運用も実施し、240時間走行を成功させた。こうした成果に基づいて実証実験の道路使用許可を取得した。類似の環境であれば、他の拠点でも公道審査を伴わない簡素な手続きで実施することが可能になり、今回がその第1号になるという。

 2022年は「ロボットデリバリー元年」として、各社とも実証実験に力を入れてきた。中でもパナソニックは公道を走行する際の道路使用許可の審査に日本で初めて合格するなど、AI技術を搭載した配送ロボや遠隔管制システムの技術進化に取り組んできた。搬送ロボットの社会実装がいよいよ近づいてきた。