伸びしろ見据え「工場更新を検討」
共栄フード 代表取締役社長 守屋 修二氏

 共栄フードのパン粉の国内シェアはおよそ30%。コンビニエンスストアやドラッグストアの冷食売場の拡充などにより、パン粉の伸びしろはまだまだあるとにらんでいる。「安全安心を担保したパン粉を供給し続けるには、生産拠点の整備が必要」と守屋修二社長。福岡新工場が10月稼働したばかり。各地の工場も更新を検討している。

       守屋社長

 ――社長に就いて6年になる。
 守屋 社長職を引き受ける際、大部荘一相談役(当時会長)に“国内事業を見てほしい”と言われました。それだけ相談役ご自身は海外に思い入れがあるのでしょう。当社はタイ、ベトナムにも進出しましたが、相談役自らが切り開いてきました。現地の日系メーカーとの取り引きも、相談役の人脈によるものが非常に大きい。現在も年に数回出張をこなすなど、当社海外事業の最前線に立っておられます。

 ――その大部さんから託された国内事業。どのように推移している?
 守屋 当社の国内生産は順調に伸びています。パン粉協会の統計を見ても、業界の伸び率は年2〜2.5%ほどですが、当社はその倍の数値で推移。全国各地に10工場を構え、同じ品質のパン粉を全国に供給できる点を評価していただいています。また、当社自身の開発力というよりも、ユーザーが開発する品質やスピードに応じる能力はあると自負しています。
 フライ製品はコンビニのレジ周りでは欠かせないカテゴリーとなりました。そのコンビニは、冷凍食品の売場を拡充していますし、ドラッグストアでも冷食売場を設けるなどシーンが広がっています。当社のパン粉もまだまだ伸びしろがあるとにらんでいます。

 ――生産面では。
 守屋 国内需要の伸びに対応するため、生産拠点整備の必要性に迫られています。福岡県飯塚市に新工場を竣工し、10月から稼働を始めました。既存の福岡工場は糟屋郡篠栗町に進出して29年。その間、細かな継ぎ足しを重ねて来たうえ、山の中腹に構えていたため、横に大きく広げることができず、非常に使いにくくなっていました。何とか1つにまとめたいと思っていたところ、飯塚市が工業団地を分譲。“残りの1区画”をちょうどのタイミングで取得することができました。

 ――新工場に期待がかかる。
 守屋 本格的な新工場は久しぶりなので、当社も期待をかけています。広さは4000坪。条件も良く、土地の取得から1年以上経過しましたが、設計にだいぶ力を入れた自信の工場です。東京工場(埼玉県北葛飾郡松伏町)も老朽化が進んでいるため、更新を検討しています。他の地域でも順々に進めていこうと計画しています。

 ――生産現場は特に配慮が必要。
 守屋 パン粉のニーズが増え、どの工場も夜遅くまで稼働し、めいっぱいの状況が続いていました。もう少し余裕を持った生産活動をしなければ、大きな事故につながりかねません。そのため今回の福岡の新工場や今後各地で進める更新は、増産をしかけていくというよりも、安全・安心な商品を供給し続けるための投資です。

 ――生産面以外では?
 守屋 営業面も強化しています。全国に40人を配置。パン粉の会社で当社ほど営業マンを抱えているところは他にないのではないでしょうか。問屋を通さない、生産直売が当社の強み。冷食だけでなく、外食などユーザーは幅広い業態に渡っているため、そのニーズを組み込み、応えていくには営業部隊の層を厚くしなければなりません。

 ――外部で経験を積んだ人材も積極的に登用している。
 守屋 この4月から迎えた山本泰也常務は大手総合商社で国内外の食糧部門に長く携わり、直近は関係会社の社長も務めた人。その経験を当社でも存分に発揮してもらいたいですね。また、各営業所の責任者や工場長には、大手冷食メーカーで重責を担った人たちが活躍しています。当社のパン粉の国内シェアはおよそ30%。それを維持しつつ、どう伸ばしていくか。外部経験者など新たな人材を組み入れながら、今後の成長につなげていきます。