「リキッドアイス製氷機」で高鮮度流通を実現

 産業用ヒーターメーカーの日本電熱(長野県安曇野市、松田博幸社長)は自社の温度制御技術を応用して開発した「リキッドアイス製氷機」を水産事業者や農業生産者向けに提案している。-1℃〜-3℃の超微細な氷が農水産品をやさしく包みながら素早く冷やすため、長距離でも鮮度を保ったまま輸送することができる。

 「リキッドアイス(登録商標)」は海水や塩水で作るシャーベット氷のことで、粒の大きさは20〜30マイクロメートルと非常に細かく、流動性のある滑らかさが特長。キューブ状の氷と違って魚の張りを保ち、魚体を傷つけない。体積当たりの表面積が大きくなるため、全体温度を素早く安定させる効果を併せ持つ。

       リキッドアイス製氷機、-1℃〜-3℃の超微細な氷をつくる

コンパクト設計も製氷能力は日産2t

 養殖真鯛の官能検査では2週間経っても血合いの色が変わらず、臭みが全くないほか、熟成してうま味が増すことがわかった。

 製氷機は貯氷タンクと一体構造にした。幅890mm×奥行2400mm×高さ1600mmとコンパクト設計だが、1日最大2tの製氷能力を持つ。製氷が完了した後も自動運転で貯氷タンクを満タン状態に保つため、必要な時に大量の氷を使用することができる。リキッドアイスの温度や塩分濃度の調整は塩分濃度調整器で行う。

 装置内部には2段フィルターを搭載し、細かな異物やプランクトンを除去するほか、UV殺菌器を標準装備してバクテリアなどの細菌類を殺菌するなど、海水を使う場合の安全性も担保している。

 日本電熱は農水産事業者と連携し、生鮮・加工品の産地直送など高鮮度流通の新たな仕組みを構築したい考え。今年度は1億円の売上げをめざす。

リキッドアイス製氷機は貯氷タンクとポンプを内蔵しており、簡単操作で取り出すことができる