金属検出機・X線検査機の新製品が登場
検査能力の進化を見せつける

 異物検査機メーカーのシステムスクエア(新潟県長岡市、山田清貴社長)は3年ぶりの出展。コロナ禍で展示会への参加を控えている間に開発に成功した金属検出機とX線検査機を出品する。いずれも検出精度の高さと誤検出率の低さが際立つ新製品。市場ニーズは誤検出をいかに抑えるかにシフトしており、FOOMAでは検査能力の進化をアピールする。

 金属検出機は、金属検査に有害な外部ノイズへの耐性を強化した「MetaHawk3PLUS」と、アルミニウムの影響を受けずに異物検査が行える磁化式金属検出機の「MetaHawk DM」を出品する。

 「MetaHawk3PLUS」は金属検出機の心臓部にあたる検査コイル(磁界発生器)にノイズを遮断する対策を加えたほか、独自のデジタル信号処理技術で検査品の反応を小さく、異物の反応は大きくして「実用感度」を高める新検査方式「Eモード」を搭載した。

 金属検出機は水分や塩分、鉄分を多く含む商品からノイズの影響を受けやすいが、今回の新製品はしょう油や味噌、漬物、ハム、ウィンナーなどで効果を発揮する。新検査方式は用途別の全機種に標準搭載している。

  金属検出機の「MetaHawk3PLUS」、新検査方式「Eモード」を標準搭載している

磁化式金属検出機、高塩分・高水分にも強い

 磁化式金属検出機の「MetaHawk DM」は従来の金属検出機では難しかったアルミ包材内の微小な金属粉(ステンレス等)を検出する。

 最大の特長は金属異物を検出する磁気センサーの手前に「着磁ユニット」を搭載したこと。ステンレス片などの金属異物が通過すると磁気を帯びる(着磁)仕組みで、アルミニウムや黄銅は着磁しないが、ステンレスは切削や曲げなどの力が加わると着磁する。この性質を利用して、磁気センサーが着磁した異物だけを検出する。

 磁気センサーの最高感度(理論値)はステンレス(SUS304)で線径0.05×長さ1mm、鉄(Fe-SUJ2)で球径0.1mmと高く、微小なステンレス片をはじめ、粉状のサビや摩耗した金属粉、鉄系の成分が入った樹脂(ブラシ毛、ヘラや手袋片)なども検出できる。

 レトルト製品の異物検査ではX線検査機が使われるが、X線検査機はX線の発生器やセンサーなど高額な消耗品が必要になる。「磁化式」は通常の金属検出機と同様、ランニングコストはほとんどかからない。

 また、「磁化式」は通常の金属検出機に比べて検査品の温度変化や塩分量に影響されにくい。このため、アルミニウムを使ったレトルト製品や缶詰から冷凍食品、塩分が高いすり身、練り物、漬物、みそまで活用領域は広い。

  アルミ包材内の微小な金属粉を検出する磁化式金属検出機の「MetaHawk DM」

X線検査機、AIで誤検出率は1/10に

 今回はAI機能をオプション搭載できるX線検査機「XrayHawk SX2シリーズ」、デュアルエナジーセンサー方式の「XrayHawk SXM2シリーズ」と、噛み込みX線検査機の「SXS2シリーズ」も出品する。

 「XrayHawk SXM2シリーズ」は独自開発の高精度デュアルエナジーセンサーを搭載した。エネルギー帯が異なる2つのX線で撮影した透過画像を高解像度処理することで、異物だけを鮮明に浮き上がらせることを可能にした。たとえば鶏もも肉や牛丼の具などからミリ単位の残骨を検出するほか、袋詰めされたウィンナーの折れも判別する。

 特に残骨検査ではAIによる画像解析技術を搭載することで、汎用機の検出率76%に対し、96%まで上げることができる。さらに、誤検出率は汎用機の1%に対し、AI検査機は0.1%と1/10に抑えられる。

 噛み込みX線検査機の「SXS2シリーズ」にもAIを搭載できる。包材のシール部は肉薄のためX線が透過してしまい、わずかな影を検出しても、それがシール部の異常かどうか判別がつきにくい。汎用機が包材のシワや折れ、柄を拾って誤判定してしまうケースでも、NG品の画像を学習したAIは確実に判別できる。

噛み込みX線検査機の「SXS2シリーズ」は今年の「JAPAN PACK(日本包装産業展)」
でアワード優秀賞を受賞した

 一方で包材のシール部は肉薄のためX線が透過してしまい、わずかな影を検出しても、それがシール部の異常かどうか判別がつきにくい。そこで従来のX線検査機の技術に光学系のカメラを加えた。X線と光学系カメラで撮影した2つの画像を合成することで、X線の画像だけでは捉えられない包材のシール部を確実に特定し、異物を検出できる。

 この仕組みによって、これまで噛み込み検査が難しかったアルミ蒸着の包材(菓子個包装品など)や、包材のしわや折れを拾って誤判定してしまうケースでも高感度検査を可能にした。

 同社によれば「噛み込みX線検査機は異物検査から噛み込み検査、形状検査まで1台でこなすため、導入先の評価は高い」という。
 ブース番号は1D−06。

X線検査機「XrayHawk SX2シリーズ」(右)と金属検出機の「MetaHawk3PLUS」に
よる検査ラインのイメージ