微酸性電解水研究会に300人、工場導入の成果を報告

 微酸性電解水協議会は第6回研究会を都内でで24日開催した。微酸性電解水を導入している乳業工場やカット野菜工場の活用事例を報告した。300人近くの食品メーカー関係者が集まった。

300人近い参加者が関心深く聴講した

 開催挨拶した同協議会の冨田守会長は「第1回目の研究会には参加者を集うのに大変な苦労があったが、今では300名近い参加者があり、期待の表れを感じる。近年、単に工場の環境改善にとどまらず、多岐にわたる応用がわかってきた。我々はウイルスやカビとの熾烈な戦いが常に強いられるが、微酸性電解水はその対策の有効な手段となるだろう。日本から発祥した技術を全世界の共通のテーマとして発信していきたい」と語った。

 講演では、微酸性電解水を導入している食品工場の活用事例を報告した。
 森永乳業の東京工場では、2000年7月に製造棟にピュアスター(微酸性電解水生成装置)を導入して以来、設備や床面洗浄など製造室での衛生環境向上のために利用し、順次使用エリアを拡大、現在では全製造エリアで使用しているという。
 また、製造環境だけでなく、従業員の衛生管理を目的に他用途での検討を行なった結果、水道水感覚で使用でき、取り扱いに手間がかからないというメリットを活かして、厚生棟での食堂利用者の手洗い、厨房手洗い、厨房床散布、調理用シンクで使用している。
 今回は厚生棟での作業台・床の洗浄時、器具の洗浄後の殺菌効果、手洗い使用時の効果について調査し、検証を行なったところ、すすぎ使用に効果が認められた。また、手洗い後のすすぎ水に使用したところ、菌数を80%以上減らすことができた。「手荒れやにおいが使いやすい」という厨房担当者の声があったという。

 カット野菜を製造している大阪デリカフーズの兵庫工場では、微酸性電解水を使用したメリットとして、加工設備のサビの発生の抑制や電磁弁、操作パネルなどの故障抑制、空調類の故障抑制、野菜アクの付着や堆積抑制、作業効率の向上を挙げている。
 「調整や希釈を工場内で行なう必要がなく、野菜はもちろん、機械・設備にわたり、“水感覚”で利用できるので大変便利。従来の次亜塩素酸Naと比較して、初期費用はかかるものの、設備保全面、安全面で得られるメリットは多い」(同社)としている。