リンガーハットは冷凍食品などの外販商品の強化を目的に富士小山工場(静岡県小山町)、佐賀工場(佐賀県吉野ケ里町)、京都工場(京都府京田辺市)の製造ラインを新増設する。投資額は10億円。併せて店舗オペレーションの効率化や省力化を進めるため、既存店舗の改装投資に13.5億円を投じる。1月26日発表した。
コロナ禍で事業環境が激変し、業績は大きく落ち込んでいる。成長軌道に再び乗るためには「新たな生活様式」に対応した投資戦略が必要と判断した。
グループ子会社のリンガーハットフーズ(長崎市)とリンガーハットジャパン(同市)が取り扱う冷凍食品を増産する。富士小山工場と京都工場で外販商品の製造ラインを新設するほか、もやしラインやぎょうざライン、包装ラインなどの新設・改修を3工場で進める。
リンガーハットの冷凍商品は「長崎ちゃんぽん」や「長崎皿うどん」、「ぎょうざ」、「チャーハン」などがあり、外販事業の2019年度の売上げは2017年度比で約4割も伸びている。同社は積極投資で生産能力や品質を高め、外販事業の成長を加速したい考え。
店舗改装は「リンガーハット」や「とんかつ濱かつ」を中心に2023年2月までに進める。テイクアウトをメインにした店舗レイアウトに変更するほか、非接触型の客席、換気設備の効率化による安心安全設計を採用する。デジタル化も推進し、食材の自動発注やAIによる需要予測を導入する。
また、コロナ時代の店舗戦略としてロードサイド店への投資を強化する。
設備投資にかかる23.5億円はモルガン・スタンレーMUFG証券を割当先とした新株予約権の発行で調達する。新株予約権の発行による調達資金は資本となるため、財務健全性の指標も段階的に改善することができる。
リンガーハットはこの資金調達と同時に、資本性劣後ローンとして総額50億円を金融機関から借り入れることを発表した。資本増強を図る。同社はコロナ禍で財務状況が悪化しており、自己資本比率は2020年2月54.7%だったが、11月には34.2%にまで落ち込んだ。資本性劣後ローンは自己資本とみなすことができるため、即座に財務健全性を高められる。
2021年2月期(通期)の売上高は前期比29.4%減の334億円、営業損失は56億円(前期は15億円の黒字)、経常損失は57億円(前期は14億円の黒字)、純損失は87億円(前期は2億円の赤字)を見込んでいる。