【年頭所感】
海洋プラスチックの削減を推進
日本包装機械工業会 大森利夫会長

    大森会長

 2018年度のわが国包装機械産業の生産実績は、米中の貿易戦争が顕在化したことで中国の設備投資に陰りが見え始めたものの、全体の輸出額は堅調に推移し、また国内の設備投資も順調に増加したことから、対前年度比4.3%増の4648億円となり、9年連続で対前年度を上回った。今後、国内市場の大幅な伸びが見込めない中、成長する新興国市場等において、これまで以上に各市場の発展状況に応じた国際化戦略が求められる。

 また、包装機械を含めたものづくり産業を取り巻く経営環境は大きな変革期にあり、さまざまな分野においてIoT(モノのインターネット)、ロボット、ビッグデータ、AI(人工知能)などの先端技術を活用しながら産業のイノベーションを起こしていくことが、製造業のみならず社会全体への進化につながるものと思う。その実現に向けて、企業・業界の垣根を越えた産官学の連携を強化し、新たな付加価値を高めていくことが必要不可欠と考える。

 わが国の包装機械産業は食品、医薬、日用品・化粧品、流通等の生活産業をはじめとしてすべての需要産業の生産の高度化に寄与することで安心・安全な生活基盤に貢献するとともに、少子高齢化等の社会構造の変化、環境問題、食料問題等の課題解決に向けても積極的な取り組みを強化したいと思う。特に最近では大きな話題となっている海洋プラスチック問題の解決に向けて関連の団体・企業等とも協力して環境負荷の低いプラスチック製品の開発・製造・利用の推進や環境負荷の低い素材・製品への代替に向けた活動などを含めて、包装産業の技術高度化、人材育成、広報、展示会等の事業を幅広く展開する。これらの事業を通じて会員のベネフィットにつながる事業の具現化にも努めていく。

 昨年10月には、当会の最大のイベントである「JAPAN PACK2019 日本包装産業展」を幕張メッセ(千葉県)で開催した。今回より展示会の日本名を日本包装産業展と新たにし、国内外の最新鋭機器・技術・サービスの展示や製造ライン全体にかかわる最新トレンドを提供した。

 次回は2021年10月に東京ビッグサイトに会場を戻して開催する。これまで以上に包装と製造工程のあらゆる先進機器・技術・サービスが集結し、需要業界の課題解決策の包装総合展としての展示会をめざす。