冷凍パン生地を使って調理実演
省人化対策、新メニュー開発などをPR

デニッシュやクラウンなどの冷凍パン。約20分の
焼成で提供できる

 業務用調理機器の製造、輸入販売会社(株)エフ・エム・アイ(東京都港区)は冷凍製菓・製パンの輸入販売会社アリスタフードソリューションズ・ジャパン(株)(ARYZTA、東京都渋谷区)と新製品展示会を本社テストキッチンで4月26日共同開催した。省人化対策や業務効率化、新商品による売場づくりを提案した。
 今回ARYZTAが展示したのは欧州を代表する冷凍ベーカリーメーカーのヒューシュタント社(スイス)やメッテムンク社(デンマーク)、クーデパ社(フランス)などの冷凍生地。FMIのベーカリーオーブン(ウノックス社製)を使って調理実演を行った。
 このオーブンは新鮮な空気を庫内に取り入れ、食材から発生する過剰な湿度を排出するためパンの内部をふっくら均一、表面はパリパリに仕上げる。外付けの給水タンクから回転ファンに水をかけて細かいスチームを発生させることで色つや良く焼き上げる。平窯と違って口当たりも軽くなる。
 担当者によれば、冷凍のデニッシュやクロワッサンは生地発酵後に冷凍しているため、店舗ではそのまま170〜190℃で約20分焼成すれば十分だという。解凍作業も必要なく「オペレーションの時短効果が得られる」と強調する。

「セミフィニッシュ」でパン寿司を提案

 FMIの敦賀基裕コーポレートシェフが提案したのはARYZTAの新商品「セミフィニッシュ」を使った「パン寿司」。セミフィニッシュは完全焼成後の冷凍パンのこと。焼成作業を必要とせず、室温で30分〜1時間解凍した後にアレンジして仕上げることができる。「メニューの幅が広がり、お店の個性が出せる」(ARYZTAの担当者)という。
 敦賀シェフはセミフィニッシュのフォカッチャをシャリ玉に見立て、同社のスチームコンベクションオーブン(ウノックス社製)やカッターミキサー(ロボクープ社製)、減圧調理器を使用してネタを調理した。
 ウノックスのスチコンは製菓・製パン業界で評価が高く、多くの店舗で導入されている。敦賀シェフによれば、パンは焼き上げる際に窯伸び(膨張)がポイントになるが、通常のコンベクションオーブンでは、熱風による温度上昇でパン生地の外側を早く焼き上げてしまうため、口当たりが重くなってしまうという。ウノックスのスチコンには「パルスファン機能」が付いており、熱循環で設定温度に達するとファンが止まって蓄熱で焼成する。「窯伸びをしっかり促し、これまで難しいと言われていたシュー生地やジェノワーズ生地(スポンジ)、バゲット生地なども口当たり良く焼き上げることができる」(敦賀シェフ)。

フォカッチャをシャリ玉に見立てたパン寿司。
スチコンで調理したネタを乗せた

セミフィニッシュの1つ「プリオシェーン」。
様々なアレンジでメニューの幅が広がる

ベーカリーオーナーら130名超が来場

 FMIの菅哲大バリスタによるコーヒーセミナーでは、カフェラテの泡にスマホで撮影した写真やメッセージを15秒で転写できる新製品ラテアートプリンター「Ripple Maker」を紹介した。また、カルピジャーニ社製(イタリア)のジェラートマシーンを使ったクロワッサンソフトクリームの実演なども行った。
 当日はベーカリー店やカフェラウンジ、ホテルなどの関係者130名以上が来場した。FMIの担当者によれば「ARYZTAとのコラボレーションは省人化対策などテーマが絞りやすく、両者の強みを効果的にPRすることができた。今後も開催を検討したい」としている。今回はキッコーマン食品、欧州の乳製品大手アーラフーズ(本社デンマーク)が協賛した。

  ラテアートプリンター

     FMIの敦賀コーポレートシェフ