アンリツの09年3月期決算は後半以降主力の計測器を中心に、顧客の設備投資抑制や投資先送りの動きが顕著となり、受注高は814億7000万円で前期比19.7%減、売上高は839億4000万円で16.5%減と前期を下回った。
営業利益は計測器事業の売上げ減少に円高の影響も加わり、前期比83.1%減の9億0500万円となったが、経常利益は1億7000万円の黒字になった(前期は20億0600万円の損失)。純損益は特別損失として棚卸資産評価損の計上に加えて、緊急経営施策の実施に伴い発生した特別退職金などの事業構造改善費用を計上したこともあり、35億4000万円の損失となった(前期は39億円の損失)。
アンリツグループは年初計画の達成に向け積極的な施策に取り組んできた。計測器事業では「利益ある成長」戦略を再構築する「経営革新2008」のもと、収益性改善と競争力強化を推し進めてきた。成長市場のロシアに拠点を開設したほか、LTE向けの研究開発用計測器などの新製品を市場投入した。
産業機械事業では食品の安全・安心へのニーズが高まるなか、タイに開発・生産子会社を設立し現地生産を開始するなど、海外での事業展開の強化を図ってきた。
また、金融危機と景気後退が世界的に深刻化した期の後半以降は、顧客の設備投資抑制や投資先送りの動きが顕著となったため、09年1月に「緊急経営施策」を策定。人員削減をはじめとして、計測器事業の国内生産体制の統合と海外の製造・開発拠点を整理した。
産業機械事業は食品・薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システムを事業分野とした高精度で高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの産業機器を開発、製造、販売している。
当期の産機事業の売上高は前期比4.5%減の129億8000万円となった。営業利益は売上げの減少に加えて円高による価格下落圧力などもあり、26.8%減の5億9600万円となった。
期の前半は食品の安全・安心意識の高まりによる異物検出機などの検査設備への需要が総じて堅調に推移したものの、期の後半は世界的な景気減速を受けて国内外の食品メーカー全般で設備投資抑制の動きが強まったためと、同社では見ている。