新刊「貨物列車」、食品の鉄道輸送の歴史や技術など詳しく解説

 食品の中長距離輸送はトラックが主に担っているが、物流の環境負荷削減に取り組むメーカーは、鉄道による原料・製品のコンテナ輸送を導入し始めている。それを牽引するのが「貨物列車」。その実態を最新情報も含めて解説した『貨物列車』(高橋政士、松本正司著)を秀和システムが発刊した。ランテックが配備するJR専用定温(冷凍)コンテナなども紹介している。

食品の鉄道輸送の歴史や技術などを
詳しく解説している

 『貨物列車』は幅広い読者層を想定した構成。定温(冷凍)コンテナの詳細を知りたい、貨物と荷物の違いを学びたいといった仕事関連の情報も、「とっておきのウォッチングポイントガイド」といった趣味情報もある。A5版。約300ページ、全5章で構成している。
 第1章「貨車の分類」では冷蔵車、家畜車、活魚車などについて詳しく解説。冷蔵車の登場は「意外と古く1908年(明治41年)」とある。積荷は主に鮮魚だったが、昭和30年代から鮮魚のトラック輸送が普及し、鉄道による鮮魚輸送は役割を終えた。現在は冷蔵や定温コンテナが担っている点など言及している。
 ビジネス書として手を取るならば、第4章「現在の貨物輸送」から読むのがお薦め。日本で本格的な鉄道貨物輸送が始まった1873年から今日までの軌跡を知りたい方は第3章「貨物輸送の歴史」から読み始められてはいかがか。第2章「機関車の分類」ではハイブリッド機関車まで網羅している。趣味の方は第5章「貨物列車ウォッチングポイントを楽しもう」から読めば、MAP付きで情報が得られ、旅情も誘われるはず。300ページの各頁平均1枚は写真や図が入り、パラパラとめくるだけでも楽しい。1900円(税別)。